delirious with fever(3/4)



「んー…終わったあ…」

あれから大人しく布団を被ったスコールだけれど、握られた手は暫く離してくれなかった。無理矢理振りほどくのも気が引けるし、仕方無いのでそのまま暫く彼が寝付くまで傍にいたのだ。
けれど5分ぐらいで少し苦しそうだけど寝入った吐息が聞こえてきたのでそっと手をほどいてパソコンに向かったのだ。

(意外と結構かかったかな…スコールに夕飯食べさせて薬飲ませないとね)

まるで気分は熱を出した我が子の看病をする母親だ。パソコンの電源を落とすと、スコールの寝ているベッドに近付く。

「………」

眠ってはいるが呼吸は若干乱れていてうっすら汗ばんでいる。風邪の時は夜になると熱は上がると小さい頃両親に言われたような気がする。取り敢えず額や首筋をタオルで軽く拭いて、セレネは寝室を後にした。





*





「スコール、スコール?」

呼び掛けるとゆっくり瞼が持ち上がっていく。覗き込んだら暫く見つめられて少し心臓が跳ねる。

「……セレネ…」

寝起きの掠れた声で名前を呼ばれて、熱の所為で気だるそうなスコールが妙に色っぽく見えてしまう。

(さ、さっきは可愛かったのに…)

ほんの少し視線を逸らしてからまた彼を見ると、じぃっと見つめられていたようで薄い涙の膜が張った青い瞳とぶつかった。

「あ、し、仕事終わったよ。それと、夕飯に卵粥作ったから今食べて…」
「セレネ」
「すこー…っん…」

ぐっと首の後ろを掴まれて引き寄せられて、噛み付くように唇を奪われた。触れた唇は異様に熱くて、掴まれている手からも焼けるような体温が直接伝わってくる。相手は病人だからと抵抗するのは気が引けて、されるがままでいると唇を割ってスコールの舌が入り込んでくる。

「んっ…ふ、」

勿論それもいつもとは比べ物にならないくらいに熱くて、セレネまで頭がくらくらしてくる。いつの間にかスコールの上に乗せられていて、寝起きと熱で火傷しそうな熱さのスコールにガッチリと抱き締められていた。

「スコール、ちょ、待って…」

熱を持った手のひらで頬を撫でられて、何度も唇を啄まれて思考が融けていく。

「…気持ちいい…」

熱い吐息が耳に掛かって、すぐに頬をくっ付けられた。ぴとりとくっついたスコールの頬もやはり異様に熱かった。くっついたセレネの体と頬が冷たくて(冷え性だからだろうか)多分気持ちいいのだろう。

「これじゃ人間冷えぴたじゃん…」
「俺専用だな…」

ぼそりと言われてセレネまでも頬が赤くなる。やっぱり寝る前の時の方が大人しくて可愛かった気がする。

「風邪、移ったか?赤いぞ」
「う、うるさい、な!」

体を離すと少しだけいつもの調子を取り戻したスコールと目が合ってクスリと笑われた。

「ほら、お粥食べて薬飲まなきゃ」

照れ隠しにそっぽを向いて言うとまた軽く笑われた。もう知らない、と怒ったふりをして一旦キッチンに駆け込んだ。そんな彼女の背を熱に浮かされながらも視界の端で見送って、スコールはゆっくりと上半身を起き上がらせた。

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