When you wish upon a star.(1/2)



長い夢を見ていたようで。
終わりの見えない戦いを続けて、そして君に出会って、戦いを終わらせて。長い長い、永遠の様な長い夢―――…





When you
wish upon a star.






「っド、ウ、……クラウド!」

自分の名を呼ぶ声にうっすらと目を開くと、血相を変えて俺を見下ろすセレネの顔が目に入った。後頭部が柔らかい、横目に確認すればそこにはセレネの足があって、自分の頭がセレネの股に乗せられていた。まだ覚醒しきらない頭で視線だけで辺りを見れば開け放たれた玄関の扉から強い日の光が入り込んできている。昼過ぎ、だろうか。

「クラウド……!よかった!」

セレネがほっと息を漏らす。
メテオ事件後、ウェポンによって彼女の勤めている神羅の本社ビルは壊滅状態になり、更に星痕事件と問題が次々起こり、タークスであるセレネは神羅再建に向けて忙しなくあちこちに駆り出されていた。認めたくはないが、彼女は神羅の2代目社長であるルーファウスになついている。そしてルーファウスも彼女のことは気に入っているため、しょっちゅう彼の元に呼ばれるのだ。

「セブンスヘブン寄ったら、ここ最近クラウドを見掛けないって言われたから」

そして今の俺の状況。
メテオ事件後は運び屋として依頼をこなす毎日。当時敵対する立場であったセレネとは今は一緒に暮らしていたりする。神羅を裏切れず、彼女はいまだにタークスではあるけれど。
重たい頭を起こし上体もなんとか起き上がる。少し頭ががんがんと痛んだ。心配そうに肩を撫でてくるセレネ。どうやら床に倒れたまま気を失っていた(眠っていた?)らしい、体も少し痛かった。

「もしかしてずっとこのまま寝てた?」

どうやらそのようだ。
確か仕事を終えて夜中にセレネと暮らしている家に帰ってきた。セレネはルーファウスに仕事を頼まれていて暫く帰っては来ないと予め聞いていた。家に入った途端、急激な目眩に襲われて。

(そのまま倒れたのか)

いったい自分はどれだけ気を失っていたのだろうか。

「もう、ばかクラウド……大丈夫?どっか、痛くない?傷とかない?」

泣きそうな表情のセレネをやんわりと抱き締めて頭をぽんぽんと撫でてやる。目立った外傷は特にないし、思考も多分平気だ。

「セレネ、仕事は?」

疑問に思って聞いてみると恨めしそうに上目で見つめられた。そんな仕草さえ可愛いのだけれど。

「人が心配してるのに!
ここのところ働き詰めだからって、社長が休暇くれたの。だから急いで帰ってきたのに、クラウド倒れてるんだもん」

ぎゅっと服を握られてセレネが擦り寄ってくる。そうされてから初めてかなり心配を掛けてしまったのだと気付いた。けれど何故自分が倒れていたのか、何日もの間気を失っていたのかさっぱりわからない。わからないけれど。

(そうだ、夢を見ていたんだ)

まだ幼さ残るセレネと出会って。

「!」

もやもやと霧掛かっていた夢の内容が一気にクリアになる。咄嗟にセレネの腕を引いて立たせると、彼女の小さな両肩を掴んだ。

「セレネ、行こう」

そう短く言い切ると腕を取って急いで外に出る。今から行けば夜には着くだろう。意味がわからないと不思議がる彼女の手を引いて愛車のフェンリルの後ろに跨がせる。

「ちょっと、ね、クラウド……!」
「話は後だ」

そして自分も跨がりハンドルを握る。エンジンを掛け勢いよく地を蹴り出すと、観念したのか腰に細い手がゆっくり巻き付いてきた。

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