「おかえり」(1/2)



「セレネ?あのね……今、これる?」









少し長かった任務からミッドガルにある神羅本社に戻ってきた。社長への報告も終わり、帰宅許可が降りたのでそろそろ帰ろうかなんて考えている時だった。
携帯が鳴った。
電話の主はエアリスだった。
エアリスとは彼女を監視するための任務を言い渡される前からの知り合いで、タークスのわたしだけれど仲良くしてくれている。屈託なく笑ってくれるエアリスの様子から、信頼はしてくれていると自惚れてもいいかな。

「セレネにしか、お願いできないの」

そういうエアリスの声音はどこか悲しそうな、切なそうな、スピーカー越しのわたしの胸までもがつんとした。
二つ返事でOKしようと思っていたので慌てて「すぐ行くね」と言って通話を切った。





*





「セレネ、こっち」

伍番外スラムを抜け、エアリスがいつもいる教会の近くまで来てみるとその教会の前に柔らかな雰囲気を纏った彼女がいた。

「エアリス」

わたしは少し足早にエアリスに駆け寄るとすぐに用件を聞いた。

「どうしたの?変なやつでもきた?」

警戒気味に教会の扉をちらりと見た。
エアリスは少し困った顔のまま首を横に振った。

「ううん、あのね、ザックス……」

え?とエアリスを見つめた。
何故今ここでザックスの名前が出てくるのだろうか。確か彼もモデオヘイム辺りに任務に行っていたはずだ。ツォンと、一般兵が何人か。

「なんだか……元気なくて」

エアリスの言い方では教会の中にきっとザックスがいるのだろう。ザックスが元気ない?

「セレネがそばにいてあげた方がいいかなって、思ったの」

少し悪戯っぽく微笑んだエアリスの顔を暫く見つめていた。よく見れば悪戯っぽく笑っているが少しどこか悲しそうで。ザックスが元気無いと、やはりエアリスも悲しいのだろう。

「だから、ね?行ってあげて」

お願いされるように言われて、断れるわけなくわたしはゆっくりと教会の扉を押した。

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