Bist Du schon gesund?(3/4)

「あ、寝てる」

ベッドサイドにそっと近付いて様子を伺ってみると、彼は鼻先まで毛布を被って寝息を立てていた。けれど頬は少し赤らんでいて、呼吸も不規則で少し荒い。苦しそうな印象さえ受けてとれた。

「大丈夫かな」

なんだか心配になってしまいそっと額に手を当ててみる。すると燃える様、とまではいかないが明らかに尋常ではない熱さがすぐにフィアの掌に伝わってきた。

「あっつ」
「……ん」

そんなフィアの掌が冷たくて心地好かったのか、眠っていたクラサメが少し身動ぎだす。ぼんやりと瞼が開かれて、エメラルドが覗いた。

「……フィア?」

掠れた寝起きの低い声で呼ばれて胸がドキリと鳴る。熱に浮かされて苦しそうな瞳がこちらを見上げる。

「あ、ごめんなさい。起こしちゃいましたか?」

遠慮がちに聞いてみるが自分が起こしたのは明らかだ。申し訳ない気持ちになりながらそっと額に張り付いた髪を退けてやる。

「いや……」

否定はしてくれたものの、ちゃんと寝てた方が良いだろう。額に当てたままの手を引っ込めようとしたのだが、

「っクラサメさん?」

手を引いたところで袖口を掴まれて止められてしまった。フィアは不思議に思い彼を見つめる。熱を孕んだ瞳は少し潤んでいて、なんだかとても色っぽい。

「つめたい……な」

“冷たい”とそう一言返ってきただけでフィアは何となく理解した。引っ込めようとした手を今度は頬に持っていきそっと撫でた。

「ん」

やはり冷たさが心地好いらしい。気持ち良さそうに目を閉じてフィアの掌にぴったりと頬を寄せる。普段では絶対に見られないようなクラサメの仕草。どきどきとフィアの心臓が高鳴っていた。

「あ、そうだ。今日提出の0組の課題、代わりにわたしが見ておきます。解答ありますよね?」

うるさい心音を誤魔化そうとして全く関係ない話を持ち込んだのだが、真面目な彼はしっかりと目を開けて話を聞いてくれている。

「ああ。すまないな、……解答は、そこの机の」

フィアは言われて机に向かう。綺麗に整頓されていたそこで彼の指示の下解答を探せばすぐに見つかった。

解答を受け取れば他にすることはない。
看病と言ったってそれを彼が望んでいるかわからないし、どちらかと言うと1人で寝ていた方が治るような気もする。少し遠慮がちな気持ちもあってそんなこと聞く訳にもいかず。

「戻るのか?」

ベッドから遠退いた時、クラサメがそう呟いた。それが少し意外で、けれどフィアはゆっくり頷いた。

「課題、採点しないといけないですし」

勿論そんなの取って付けた都合の良い理由に過ぎなくて、本当は苦しそうなクラサメの隣にいてあげたい。だけどやはり邪魔に思われていたら嫌だ。だから適当に理由を付けてさっさと部屋から出ていこうとしたのだが。

「そこで、」

先ほど解答を探しだした机を指差して彼が呟いた。

「そこでやったらどうだ」

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