Kittys fangs removed.(1/3)

若い日本人のエージェントがいるのは知っていたし噂にも聞いていた。綺麗な黒髪で大きな黒目がちの瞳。
才色兼備と言う言葉は正に彼女の為にあるらしいという噂。そんな美少女をどんな手口で雇ってるんだと聞きたくもなるがそこは黙っておくことにした。




Kittys fangs removed.


「この人と二人で調査任務ですか?」

そして少々性格に難有り、とも聞いていた。けれどそんなのは彼女の美しさに嫉妬した誰かが取って付けたような出任せに違いないと勝手に解釈して特に気にも留めなかった。だから俺は口頭で言い渡された任務の同行相手の名前が日本人だと知って少し浮かれていたのだった。

「彼は大統領から絶大な信頼を得ているし、それに君もとても期待されているんだよリアくん」

大統領補佐官直々に任務出発前の確認を行うと呼び出され初顔合わせすることになった任務前日。言われた時間よりやや遅めに扉をくぐると腕を組んで少し不機嫌そうにこちらを見た女性、と言うより少女と呼んだっていいだろうか。

「いくら信頼があっても実力が伴っていなければ邪魔なだけです」

成る程、噂通り容姿には文句のつけようがなかった。容姿には。

「わたし一人で行かせてください」

性格に難有り、を嫉妬した誰かの出任せなんて言った奴は誰だ。
完全に圧倒されてしまっている大統領補佐官を哀れに思いつつそう言えばいいように言われているのは自分の事だと漸く気付いた俺は取り敢えず彼女を諭すことにした。

「だいたい、時間にルーズな人は嫌いなんです。そういう人に限って任務や私生活にも支障が出るんです」

が、出鼻を挫かれてしまった。
これはなかなか仔猫ちゃんの世話に手を焼くことになりそうだ。

「とはいっても、今回の任務は二人一緒に行ってくれと大統領が」

負けじと補佐官も彼女に言葉を返す。
しかし最終手段で出したであろう“大統領”の名にまったく動じない彼女はまたしても強く出る。

「こんな二枚目俳優みたいなチャラチャラした人嫌です」

おいおい。ちょっとあんまりじゃないのか。褒めてるのか貶されているのかわかったもんじゃない。

「リアくん、しかし」
「大丈夫ですよ補佐官」

俺も言われっぱなしは好きじゃない。相手は俺よりだいぶ若い女性。まあ俺にもこんな時代はあったと思う。

「手の掛かる仔猫の世話は慣れてます」
「なっ!」

かちんと来たのか物凄い勢いでこちらを睨んでくる彼女。ああ、そんな顔してたらせっかくの可愛い顔が台無しだ。

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