オフィスを出たレオンは真っ直ぐに階段に足を向ける。勿論、先ほどオフィスから出ていったリアを追い掛けるために。
屋上のドアを開くと予想通り見慣れた後ろ姿を見つけ、思わず口元がしなった。
「随分盛大な愛の告白だったな」
フェンスにもたげていたリアの頭を後ろから撫でる。ゆっくりと振り返ったリアは複雑そうな表情でレオンを見た。
「気にするな。俺は今のままのリアが好きだし、リア以外興味ないさ」
ぽんぽんと手に馴染む髪を撫でる。
けれど何も返事の無いリア。しょんぼりとしたまま目を合わせようともしない。
「リア」
一度呼び掛けて間を空けてレオンは言った。
「肩貸そうか?」
「…胸がいい」
ぎゅっとレオンに抱き付いて胸に顔を埋めるリア。
「胸でも腕でも、好きにしたらいいさ」
そんなリアをそっと抱き返してレオンはまたリアの頭を撫でる。ぴったりとくっついてくるリアの様子に彼女がかなり凹んでいるのだと気付いて抱き締める力を強めた。
「愛してるよ、リア」
「………」
そっとリアの耳朶に口づける。そうして囁くと一瞬リアの肩が跳ねた。
「俺にはリアだけだ」
おずおずと顔を上げたリアの顎をすかさずレオンが捉える。愛しむ様に頬を撫で、リアの唇を覆う様に自分のそれを重ねた。
「…日本人でもいいんですか?」
不安そうにリアが上目がちにレオンを見る。レオンは口元だけで笑って「勿論…」と呟いた。
「スタイル良い訳じゃないし…」
「日本人にしたら良い方だろ?」
額にそっと口づけるレオン。
「…胸だって、」
「気になるなら俺が大きくしてやるよ」
バッとリアがレオンから離れようと後ずさる。が、レオンががっちりとリアの腰を掴んでいた為にそれは叶わない。
「せ、セクハラですっ」
「リアが言い出したんだろ。俺は今のサイズで十分満足してる」
「っや、ここ仕事場…!」
胸に伸びたレオンの手から逃げようと奮闘するリア。そんな彼女が愛しくて堪らなくなり、レオンはもう一度深くリアの唇を奪った。
***
その後、オフィスに戻ったリアにひたすら腰を曲げて平謝りするレディアの姿が確認されたらしいのだが…
「日本人も中々お熱いねー、」
「将来はケネディ婦人になるのかー、リアちゃん」
しばらくリアは同僚や先輩の冷やかしに耐えなくてはならなかったのだった。
「良いじゃないか、大統領公認だな」
「よくありませんっ!」
*fin*