bloody weekend.(4/4)

「う………」

鈍い痛みが下腹部から腰を襲い、軽い吐き気までしてきてリアは目が覚めた。横ではまだレオンが自分を抱き締めてくれている。と言うことはほとんど寝ていないのでは?

「っ……」

けれどお腹が痛くて今何時だとか考えられなかった。どうしよう、また薬を飲んだ方がいいだろうか。と言うかなんでこんなに痛いんだ。

(ほんとにもうやだ…)

じわっと涙が滲んでくる。
薬に頼ろうと起き上がってから、レオンが隣にいたことを思い出す。そういえば彼は帰ってきてすぐ自分の元に来て看病してくれていたのだ。夕飯なんか食べてないだろうに。
ベッドサイドにあった時計を見ると深夜を回っていて、薬の服用間隔時間はちゃんと過ぎていた。錠剤をミネラルウォーターで飲み込む。

「リア……?」

もぞもぞと動いているとレオンが起きてしまったようだった。彼だって疲れてるのに。

「ごめんレオン…、もう寝ていいよ?」

ぎゅうぎゅうと鈍い痛みが激しくて、自分は暫く寝れそうにない。じっとしてると余計に痛くなりそうで横になってはいられなかった。

「まだ痛い?」
「…うん、さっきよりかなり」

これ以上レオンに迷惑は掛けられない。
夕飯も作って無かったし薬まで買ってこさせて、更に看病してもらって。けれどレオンはそんなことなんとも思っていないらしく胡座をかいてベッドに座るとひょいっとリアを持ち上げてその足の間に座らせた。

「え、ちょ、レオン…?」
「強めにマッサージしたらいいって何かで聞いた」

左右の骨盤の出っ張った辺りをぎゅっと掴まれて揉むようにマッサージされる。食い込んでくる指が痛いくらいなのだがそれが逆に今は気持ちがよかった。健康番組か何かでやっていたのだろうか。無言でマッサージを続ける眠そうなレオン。

「れ、レオン、眠いなら…」
「痛がってるリアほっとけないだろ」

一蹴されて大人しくなるリア。
仕方がなくレオンに身を委ねていると段々と筋肉が解れてきたのかまた楽になってくる。力強いレオンの手がとても気持ちよかった。

「ん…レオン、もうへいきかも…」

そう言うと今度はそのままぎゅっと抱き締められた。背中からレオンの温もりに包まれる。

「大変だな、女性は」

するりとレオンの手が下腹部に伸びてきて手のひらを押し当てられる。何をするかと思ったらそのまま円を描くように撫でられた。

「将来産まれてくる我が子のためとはいえ、これはさすがに毎月挫けそうになります…」

正直な話、十代の頃なんて出産のことなんて考えられなくて本当にただ邪魔な痛みでしかなかった月経痛。

「同じ女でも軽い人は全然なんともなくて、甘えだろって怒られたこともありましたし…」

医者に行っても特定の病気で無ければ治療法なんてなくてただ薬を処方されるだけ。酷い時は薬だって効かないし本当に辛い時もあった。

「レオンも、ごめんなさい迷惑掛けて」

しょんぼりとリアの肩が落ちる。
感情の起伏が激しくなるのも生理の悪いところ。本当に女って面倒くさいと女に生まれたくせに何度思ったことか。

「迷惑じゃないだろ?」

黙って話を聞いていたレオンが口を開いた。下腹部にある手はずっとそこを撫でてくれている。暖かくて大きなレオンの手は心地が良い。

「将来リアには頑張ってもらわなきゃならないんだ、その為の準備だったら俺は喜んでマッサージだって看病だってするさ」
「レオン…」

思わず肩越しに振り返るとレオンの彩度の低い青い瞳と視線が絡んだ。彼は幸せそうに笑っていた。

「わたし、レオンが恋人で幸せです…」
「光栄だな」

クスクスと二人の笑いが洩れる。
気が付けば薬も効いてきたのか大分また楽になってきていて、リアはレオンに抱き着いた。

「じゃあリア、最初の子は女の子な」
「え、レオンに似た男の子がいいです」

しかし思わぬところで食い違う二人。
お互い顔を見合わせてきょとんとした。

「いやリアに似た女の子だろ」
「レオン似の男の子ですよ!」

じいっとお互いを見つめて訴えるがその内またどちらかともなく笑いだした。そもそも産まれてくる子を指定は出来ないのだし。レオンは笑いながらリアの頭をぽんぽんと撫でた。

「でもまあ、もう暫くはリアを独り占めさせてもらわないとな」

子供の話をしたところでまだお互い二人で過ごす時間を存分に満喫していない。リアが月経痛から開放されるのはまだまだ先になりそうだ。

「じゃあわたしも、もう少しレオンに甘えたいです…」

リアはぎゅっとレオンを抱き締める力を強めた。

「のぞむところだ」


これだけレオンが甘やかしてくれるのなら、生理痛も悪くはないかも…と少しだけ思ったリアだった。


*fin*
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