240319 / event
「オレンジ」
だって愛を語るには青過ぎる月でしょう/黒尾鉄朗
819の日まで残り5ヶ月
≫あとがき
※現在公開中の映画の話も出てきます。ネタバレにご注意ください。
今回のお話は、劇場版を初めて観に行ったとき、試合を終えた音駒三年生ズが大将くんに遭遇した辺りのシーンを観たときに思い付いたものです。
てっぺんに君臨するのは一校だけで、残りは敗者となる。大将くんの言っていた言葉は確かにそうだし、だからって戦わない選択肢はないけど、黒尾にとってゴ決の試合は今まで自分が起こしてきた行動すべてに於いて間違ってなかったと確信を得られたものだったと思うから、勝敗以上に、ゴミ捨て場の決戦を実現できたことや、後輩たちが育ってきている感触なんかに対する充足感のほうが勝っていたんじゃないかと思うところもあって。
だから、女の子が泣いていると知ったときは、試合に敗けたからだって思ってしまうのは必然なんだよね。敗けたことに対して、終わっちゃったなって気持ちはあっても、どこか満足感のほうが強かった黒尾にとって、そこに対して変わりに泣いてくれていることは嬉しくもあり、申し訳なくもあったから。
でも蓋を開けてみれば、楽しそうにバレーボールをしている姿をもっと見ていたかったっていう女の子の台詞に、バレーボールが楽しいものだって伝わっていたことがまた嬉しくて。勝っても負けても、自身の本質的に求めてきた部分が少しでも伝わっているならって気持ちと、あぁでもやっぱりもう少し……って気持ちとがせめぎあって、涙を流す黒尾もいるんじゃないかと思ったのが、今回の話を書いたきっかけです(長)
原作でははっきりと描いてなかったように見えた、黒尾の泣くシーン(研磨にお礼を言われるところ)で、きっと女の子の前でも泣くことがあるんだろうな、それってきっとこういうきっかけなんだろうなと思ったのが、あの瞬間でした。
書き始めたときは相変わらず黒尾視点で書いてたんですけど、何かにつけて黒尾視点にするとうまく伝わらないので、今回は彼女視点にしてみました。うまく伝わってるかな〜〜〜
調子がよければ9のつく日に更新したかったんですけど、書きたい話が増えていく一方なので安定の毎月更新になりそうです!烏野や梟谷の子たちも書いていく予定なので、楽しみに待っていてくださると嬉しいです◎ここまで読んでくださってありがとうございました!