確かかつ不安定な動機


「おいで」



彼は愛想がいいとは言えなかった
不敵に笑う、といえばそれが似合う気がする。
要するに彼はお人好しなほうではなかったから、世話を焼いてくれたのは珍しかった。
(おいで、なんて
まるで大事なものを扱うような)

「…ありがとう」

なぜだか歯がゆくて笑ってしまう俺を見て君は眉をよせたので、
怒らせたかと思わずごめんと謝った。
「おかしな奴だな、」
はは。と彼も笑った。

「ええとああ、名前
お前、名はなんという」

「…伊作。
善法寺、伊作だよ。」

「ふん、なかなかいい名前だな。
私は仙蔵だ。立花、仙蔵」


彼は。
愛想がいいとは言えなかった。
故に彼に嫌われているのだと勘違いする者も少なくはなかった。
それも彼は知っていたけれど構わないといった風で人に執着などしなかった。
彼から話しかけたり気にかけることなど珍しくて


だけど彼の言葉は優しくて
他人のそれとは違ったので まるで










なにかを大切にしてみたい と
(錯覚ではないはずだ)









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仙蔵と伊作が初めて喋ったとき
うちの仙蔵はぼーっとしている


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