夏の焦燥





「人生は良いものだわ。
私いつも思うのよ。
悲劇か喜劇かなんて関係ないの。
私がいたことが、あなたがいることが、
残されなくても、いいの。
つまりまた私のこと、忘れてくれてもいいのよ。
あなたのこと恨んだりしないわ。
私の人生は良いものだと思うもの。
だからもし、あの男が倒される所を見ずに消えることになっても、後悔はあるけれど私、怖いとは思わないわ。
…あなたにもう一度会えたもの」




ポケットに付いているほつれた淡い桜色のリボンを結び直しながら彼女はそう言った。
彼女は、自分が僕の方を向いて話せば、僕の方が彼女を見ないということを知っていた。
だから彼女は目を、綺麗に結び直した(本当に綺麗に整っていた)リボンに伏せたまま、そう僕に言い聞かせるように話した。

(背を追い越して、年を追い越しても、)







   








(ちくしょう、君の前じゃあ、いつまでも僕はあの頃のままだ)


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まだ吉良を見つける前
鈴美お姉ちゃんが好きすぎて泣ける


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