睨む前に謀る


「つまりな、こういうわけなんだよ東方仗助」


今日これこれこういうことがあって、やれこうだなんだと騒ぎ立てるもんだから僕は言ってやったんだ、そんなことは大したことじゃない、そんな事を僕にいちいち言いに来たんなら帰れよ、って。
あの堅物で馬鹿な担当、僕は僕だけのことを考えてると思ってんだぜ、仮にそうだとしてもだとしたらなんだってんだ?別に悪いことじゃないだろ?でも本当にもしそれだけだったら漫画なんて描けると思うかい?そもそも僕は…、


なにがつまりなのか、と思いながら仗助は時計を盗み見た。
突然電話がかかってきて、理由も告げられず呼び出されたのが23時半。
着替えもせず髪型だけセットし直して露伴の家にやってきたのが0時。
髪をおろす前だったのは幸いだった。(それでなくても遅い、と睨まれたからだ。)


そして喋り通して0時20分、いまここ。


(俺は只聞いてりゃいいんスかねぇ)
(、さむ)


あまりにも流れ込んでくる言葉に圧倒されながら思わず正座をしていて、寒さでその体制のまま小さく震えた。
あと何分耐えればいいだろうかとふと下を向いたとき、折っている膝の上にふわりと手触りの良い膝掛けが落ちた。


「寒いかい?それで良けりゃ使えよ」

「え?…え?」


あまりにも意外な行動に目を丸くした。
いつもなら気付いてたとしてなにかくれる筈はないからだ。
(コイツ熱でもあるんじゃねえか)
おまけに砂糖とミルクは?なんて聞きながら露伴は寒さで少し赤くなった手でコーヒーまで淹れていた。


「なんで今日に限ってそんなに優しいんスか」

「変な言い方するじゃあないか…普段僕はそんなにお前に酷いことしてるかい」

(ええまあ…)
口に含むだけにした言葉は彼の耳の奥でだけはじけたらしい。露伴が少しだけ眉を寄せた。

「さすがにこんな時間に呼びだしたのは悪いと思ったからさ。なんで俺、って顔するなよ東方仗助」

しかし不機嫌になるわけでもなく(これも珍しい)、またぽつぽつと話し始めた。






…そうだな。都合良く呼べるのはお前くらいだったしなあ…今日はなんだか喋りたい気分だったんだ。愚痴を言いたいってわけじゃなかったんだぜ。でも言ってしまえば別に聞き手はお前じゃなくても良かったんだけどな、僕は誰か に居て欲しかったわけで――…でもさ仗助













「お前がすっとんでくる、っていうくらいの自信が僕にはあったんだぜ、なあ」











(グレートだぜ)


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まじ言いなり
尽くす男仗助(攻)


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