好きたい



一際目立つ金色の髪が揺れる。
彼にとって、斎藤タカ丸にとってそれは自慢だった。
(今日もいい感じだ)
彼は髪に関しては妥協しない。
と、いうよりは、髪が第一なのだ。

彼が今までに関係を持った者は女であれ男であれ、とにかく髪が絹のように綺麗な者である。
会いたいと誘われた時は、散歩という形でなるべく外での逢瀬を望んだ。
風が吹くと、その愛しい髪がなびくのを見つめられるからである。
その度同じようにまた風が髪を撫で、踊るようにふわりと揺れるそれを見つめると、彼は恍惚の表情を浮かべた。
彼が愛情を感じるのはその時だけであった。

「綺麗だね。すごく綺麗。」

彼にこう言われると対象はすぐに自身が愛されているという錯覚をし、塑像の幸せを感じ、中には泣き出して喜ぶ者もいる。
なにはともあれ誠実な嘘に幸せを感じる。彼の仕事は幸せを与えることだった。
(ああ、その髪をすきたい、きみを、)









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よくわからずなんか長くなりそうだからやめる
髪しか愛さないタカ丸とかたぎる


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