交差する声の、
深い、微睡の中で、
何度も名を呼ぶ君の声が、
「―――!クロード!」
「んあ、」
「こんな所でサボリとは貴男いい度胸してますね」
「…今日なんかあったっけ」
「大事な会議に出席しないなんて何考えてるんですか!?」
「なんにも考えてなーい☆」
ゴツン。
どうやら草原で寝ていたらしい。今日は会議があるからサボるなと再三聞かされていたらしいが、そんなことどうにも頭に無い。そんなこと、と言えてしまえるのだから端から会議なんて出る気は無かったのだと思う。
それを目の前にいる同業者、鶴之丞に話せば説教と鉄拳を食らった。風を切って振り下ろされるそれは中々に重く、身体を痛みが走り抜けていく。ああ、痛い。
「別に会議に出たって寝るだけだし、一緒じゃん」
「だから寝るなと言ってるんです!」
「寝るよ。興味ないもん」
「貴男って人はああ言えばこう言う!大体貴男寝てばっかりじゃないですか!!」
「昼に会議をやる方が悪いー!」
吸血鬼だから夜行性なのは当然と主張すれば鉄拳が飛んでくる始末。そして更に言い訳を重ねれば、銀に煌めく刃が眼前を掠め、はら、と金糸を一房断ち切って行く。ああ、オレの髪の毛が。
「貴男も神父なら神父らしく振舞いなさい」
髪の毛に気を取られて不意に押し倒された。右頬の真横には銀の刃先。視線の先には鶴之丞の何とも言えぬ顔が。何故だか笑いがこみ上げてきた。
「押し倒されちゃったね。やだぁ、積極的」
「…っ!?…バッ、違いますこれはっ!!!
さっきまでの威勢は何処へやら。
赤面しながらあわあわと慌てて飛び退く鶴之丞にふ、と笑みが零れる。回らない頭で必死に言い訳を考えている彼の、赤い耳元に近づいて、徒にそっと囁いた。
「話の続きはベッドでしようか、お鶴チャン」
そしたら今度はオレが、
目一杯君の名前を呼んであげる。
End.
15/01/20
勢いって大事かなって(白目
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