11/20 One hour Writing!!

11/20 ワンドロ/ワンライお題
「信じていたかった。無理だった。」
「あなたから与えられる愛が、良い」
「どうかその手で、終焉(おわ)らせて」
「血液」「扇子」

>>「睡蓮」




「なあ、朝」

「何だ、クロデ」

「死に際は水葬が良いと思うのだが」

「唐突に何を言い出すかと思えば…」

「もしも、の話だよ」

「クロデ、フラグという言葉を知っているか、」

「わしがその辺の輩に引けを取ると思ったか?」


そうやって笑い飛ばしていたのがかれこれ数週間前の話。
クローデットは盛大に“フラグ”を立てて行ったのである。フラグとは、元来、旗や目印のことを意味し、そこから転じて特定の動作を起こさせるための条件に付けられた名称のことを指す。その条件が成立した状態をフラグを立てる、と呼ぶのだ。そしてその言葉は、今では「そうなるであろう」状態を予期した場合にも、使われる。


「…クロデ」

「そう目くじらを立てるでない、朝よ」

「そうじゃない。心配しているだけだ」

「わしを?」

「そうだ」

「それは要らぬ世話よ。雑魚に遅れなど取らぬ」

「クロデ…」


彼女の力に不信を抱いている訳ではなかったし、彼女自身の力は自分もよく知っている。純血の吸血鬼が、その辺の人間や妖魔に劣るとは思ってもいないが、それでも良からぬ予感は訪れるもので、それが堪らなく心をざわつかせるのだ。


「…お前がいなくなることが、堪らなく怖いんだよ」

「なあ、朝」

「…、……何だ、」

「この前水葬が良いと話しをしたな。できるなら花の咲く所が良いと思うのだが、」

「…クロデ!」


辛抱堪らず怒鳴ってしまった。
それでも彼女は、笑っていた。人の気も知らず頭を撫でながら、またやってしまったな、と言い残して。




「…お前に抱く思いはいつだって不相応だったな」


だから、どうか。




「クローデット、」


お前はいつも猫のように甘えては、猫のように気儘だった。そんなお前が好きだった。それでも、去り際まで徹底せずとも良いではないか。
私は、兄と違って忘れることはできないというのに、




「お前は酷い奴だ。今更、わたしを、」


散々捜し回って見つけた水辺の森で、真白の睡蓮と共に葬られる恋人を見た。




ああ、やっぱりお前は綺麗だよ。


平穏静かな水溜りの中に、花と共に睡るお前は


何よりも綺麗で、何よりも残酷だった。





どうか、微睡む水面を揺らさないで

睡蓮の流れ行き着く彼方で、また恋をするのだから。


「なあ、朝。お前に抱く思いは、いつだって真白でありたいと願うよ」



End.
15/11/20
死でしか遺せない愛があっても良いと思います。
睡蓮の咲く池で水葬とか、この世のものじゃない感があって好き。







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