10/2 One hour Writing!!
10/2 ワンドロ/ワンライお題
【神無】【レモンティー】【指、切り】
【シガーキスを君と】
>>【離れる絆】
つめたいつめたい
海の底
くらいくらい
微睡みの底
静かに漂う
糸をみた
本当に、あれは夢だったのだろうか。
「う…、…」
酷く重たい身体を起こして、冴えない頭で針を見る。
時刻は午前5時を回る。俄かに空も明るいようで、布越しに光が差して部屋の中がじんわりと明るみに晒されている。
「……ぅ、」
頭の鈍い痛みに、身体を動かす余力でさえも削ぎ取られた。昨晩はそんなに酒を飲んだ覚えはないのだが、恐らくこれは、二日酔い。
酒を煽った理由など、こんな頭で思い出させる筈もなく、嘔気に駆られてそのままシーツに引き戻された。
「気持ち悪ぃ…」
迫り上がる胃液が喉を焼く感覚に顔を顰めながら、窓に掛かる布を引き揺らせば、いつもの影がいつものように動いているのを見た。
「クロード!早く起きてくださいよ!」
「…つるちゃん……」
窓の向こうに愛しい愛しい恋人がいる。
ああ、今日も君がいる。それだけで十分だ、と落ちる瞼に逆らえず、遠のく声も知らずに微睡んだ。
ここの所、夢見が悪い。
君がいなくなった夢ばかり見る。それだけ君がいなくなることが、怖いのだろうか。今更なのに。相手の寿命と自分の不死と、どれだけの差があるかなど火を見るより明らかなのに。それでも、君との絆を願ってしまう、自分がいる。
「クロード!ほら、早く起きて!夜になっちゃいますよ!」
「…ごめん、て」
何度目が覚めても身体が重い。
重石を付けたような身体に起き上がることもできずに、ただただ恋人に感覚を委ねて、微睡むのだ。でも、それだけで良い。何もせずとも、彼がそこに在るというだけで何よりも安心できる。
だから、こうして、
「クロード、」
「鶴チャン…」
「クロード、僕は、此処に」
「どこに、いるのさ…鶴チャン、」
「此処ですよ」
追い駆けても追い駆けても追い付けない彼の背中を見た。振り返っては微笑む彼の、姿が遠い。手を伸ばしても届かない。声を掛けても届かない、遠ざかって、隔たれてしまう、くらいなら、
だから、こうして、
オレは、
何を、した ?
「クロード、」
「お鶴チャン…」
「クロード」
「待って、」
「クロード、僕はね、」
「僕は貴方を、あいしていますよ」
嫌だ嫌だと泣き喚くオレと、
静かに凍る君の
絆<イト>が切れる、
現実<ユメ>を見た。
End.
15/10/02
世の理に隔たれるくらいならと、自ら君の絆<イノチ>を切ってしまった話。
結局、理に囚われているのは、どちらなのやら。絆から離れて、理から外れてしまった君<バケモノ>は、一体何処へ向かうんだい?
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