9/26 One hour Writing!!
9/26 ワンドロ/ワンライお題
>>「本当に、愛されているかい?君は」
>>「指輪」
「首輪」「腕輪」
「緑色」
『本当に、愛されているかい?君は』
いつも誰かが問いかける。
本当に彼に愛されているのかと。そんなことは、正直よくわからない。自分が本当に彼を愛しているのかすら曖昧なのに、彼が自分を愛しているのかなんて、わからない。
「ルフト、好きだよ」
彼が投げかけてくれる言葉はどれも優しくて、くすぐったくて、ふわふわするくらい、不思議な感触を持っている。けれど、それに甘えていいのか、その優しさに甘えて迷惑を掛けてしまうんじゃないか、と思うと手を伸ばすのを躊躇い、引っ込めてしまう自分がいる。
「ルフト。ルフト。ルーフト」
むぎゅう。
彼の腕の中はすごく温かくて、心地よくて、何故だか堪らなく安心する。この優しさに素直に溺れてしまえたら、きっと全てが幸せに過ぎていくのは目に見えるような気さえする。
『本当に、愛されているかい?君は』
あんなに優しくしてもらっているのに、カトレア君に愛されているのか疑ってしまう自分が、カト君を信じ切れていないわたしが、とても残酷で心無いように思えた。こんなことで悩むことさえ烏滸がましいのに、どうしてわたしは…。
「ルフト、あのさ」
「…カトくん、カトくん……すきです、すきなんです…でも、」
「ルフト。手、出して」
そう言って取られた手に嵌まっていたのは綺麗な指輪。桜色した小さな指輪。彼の顔を見れば、照れたように笑って、いつもと同じ言葉を囁いた。
「ルフト、愛してる。ずっと。ずぅーっと」
こんなに嬉しくて、泣いたのは、初めてだ。
いつもは悲しくて、辛くて、もう逃げてしまいたいと思う度に泣いていたのに、すごく不思議な気分。
「かと、くん…かとくん…」
口下手なわたしは、カト君の名前を呼んで縋りつくことしかできなくて。それでもカト君は、にこにこして頭を撫でてくれた。
満たされるって、幸せって、こんな気持ちなのかな。
『本当に、愛されているかい?君は』
なんていう言葉を、今でも時折、投げかけられる。本当に愛されているのか、なんて問うのはきっと、僕が不安でしょうがない証拠なんだって。君がいつか離れてしまうのではないか、なんていうどうしようもない予期不安。
でも、今なら、はっきり答えることができる。
「本当に、愛されているかい?僕は」
「はい。彼を愛して、彼に愛されて、わたしはとても、幸せです」
左手の薬指に糸を結んでもらったから、安心して君を愛することができる。もう離れなくていいように、ずっと一緒にいられるように。それから、ずっとカトレア君を愛していられるように。
「あの、…え、と……あ、愛しています、カトくん」
視界の片隅で、わたしがにこりと笑った気がした。
End.
15/09/26
僕とわたしと、愛する人のお話。
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