[記憶を失くしてしまったオレから君に]
「………」
朝起きたら、隣には見覚えのない傷だらけの男の子。
「…?」
俄に熱を持った自分の右腕を見れば、震える字で紅く『つるちゃん』と書かれている。
「つる、ちゃん」
「…はい、何ですか?」
憔悴したような笑顔に、思わず首を傾げた。
多分だけれど、この人がきっと『つるちゃん』なんだと思う。
「つるちゃん」
「どうしたんですか、クロード」
クロード、というのは多分自分の名前、だと思う。
何も覚えてないのはこの際どうでもいいけど、真白の頭の中に言葉が見つかった。
「つるちゃん」
「あいしてる」
びっくりした顔で、ぼろぼろと泣く『つるちゃん』の顔は、綺麗だと思った。
ああ、きっとこれがあいしてるってことなんだね。