「みゆたん、もっちー撮らせて」
「「やだ」」
丁度よく二人が話している(喧嘩)のを見かけて、駆け寄る。
声荒げてるから、クラスのみんながドン引きしてるよ。
そんなんだから友達できないんだよ。
あーかわいそう。
かわいそうな二人に愛の手を差し伸べる私、優しい。
「即答!卒アルに写真載らないことになるけど良い?」
実際は、クラス販売用の写真に二人の写真がないとか、二人のツーショットが欲しいとか、要望がうるさいのだ。
でも、この二人はクラスにいる時はなかなか写真撮らせてくれなくて。
クラスのみんなとキャッキャしてるような卒アル用の写真さえない。
「いーよ」
「つか、うぜぇ」
話を中断させたせいか睨むように私を見返す御幸とヘッドロックしてくる倉持。
倉持くん、それは八つ当たりです。苦しい。
「痛い!痛いから!…写真撮らなきゃダメだよ!思い出大事!!しかたないなぁ…三人で撮ろ」
「「ふざけんな」」
息ぴったりじゃないか。
喧嘩していたとは思えない意気投合ぶりだよ。
首が手加減なく絞まるし、御幸が教科書でペチペチ殴ってくるのも痛い。
「もう!…実は写真係だから、自分の写真もないんだよ!!……一緒に写ってください」
「お前…バカだろ」
後日、このもめてる瞬間をクラスの子が数人撮ってくれていた。
二人の楽しそうな顔とは逆に、私の顔が残念なので絶対リベンジ。
「あ、二人とも喧嘩は良かったの?続ける??」
「あ?…ああ、とりあえずお前を落としてからな」
倉持さん御幸さん、顔が悪いし親指が下を向いてます怖い。