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- ナノ -

だって汚い…

「きっよこさぁぁん!!」

「ノヤ!早くビブス脱いで!」

「邪魔すんなよ、なまえ!」

洗濯しなきゃならないのに、いつまで経ってもノヤが脱がないものだから、痺れを切らせて催促に迫る。
ノヤも田中も女子に免疫がなさ過ぎて、潔子先輩や普通の女子にはタジタジするくせに、私は女子ではないとでも言うように雑な扱いだ。
別に良いけど。

それはつまり、二人と特別仲が良いんだと思うようにしてる。


「あー!悪りぃ悪りぃ!忘れてたわー! ハイ、俺のスーパー汗まみれのビッチョリビブスをお前にくれてやろう!」

「臭い汚いフザケンナ」

「なんだとー!」

今にも飛びかかって来そうな、ノヤからビブスを受け取ったら本当に汗で少し湿気ってる。
ほっといたら臭くなるから早く洗いに行こう。
親指と人差し指で摘んでそれを持って背を向けた。

「お前!それ!失礼だろ!!」

「だって汚い…」

結局飛び付いてくるノヤを軽くあしらおうと思っていたのに、ふと気付くノヤの手の位置。
後ろから抱き着いたノヤの手は両腕をホールドし、背中にノヤの顔が当たってるだけでなく、手のひらは…手のひらは…


「……ッ!き、き、…ギャァーーー!!」


思わず振り払いのけて距離を取る。
動揺する私を他所に、ノヤは真顔で自分の手のひらの感触を思い出すかのように握ったり閉じたり。
やだもう。
本当に頭痛い。
信じらんない。
バカじゃないの?
どうせあるかないかわからない胸だよ!

「…〜ッバカ!!!」

そう叫び、ノヤの頭を思い切り叩いて体育館を出た。





「あーあ。ノヤっさん流石にやり過ぎだろ〜」

「田中」

「みょうじも一応、女なんだから…」


「…あいつ…本当に女だったんだ…」


「今頃何言って……ノヤの顔、赤ぇぇぇぇ!!!」

「は?!違えし!!!」




[ だって汚い… ]

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