短編 | ナノ
守衛と今吉


「やっほー今吉君」

真っ暗な闇が広がる体育館。
今吉は背後から肩を捕まれた

「…なんや守衛さんやったんか」
「なんだ。驚いたか?ん?」
「別に、ちゃいますよ」

ははは、と渇いた笑みを浮かばせながら今吉は手探りで靴を履く

「照らしてやるよ」
「あ、どうも」

懐中電灯で足下を照らしてもらったおかけで簡単に履けた。

「しっかし、いつもお疲れさんだよなー」
「守衛さんこそ毎晩遅くまでご苦労様で」
「いやいや私はこれで食ってるわけだから」
「いやいやワシなんて…」
「いやいや」
「いやいや」
「…………」
「…………」

何に対して否定しあってるのかよくわからなくなってきた。

「ほんならお互い様ゆうことで」
「そうだな」

そして2人で校門まで歩む

「そういえば、守衛さんなんでわざわざ体育館ん中まで来たん?」
「………あー、それはだな」

守衛が、何かを思い出したようにいった

「これを届けようと思ったんだよ」
「それ…」

持ち上げられた守衛さんの右手。
そこにはしっかりとバスケットボールが置かれていた。
守衛曰く、外に落ちてたそうな

「もっと早く言ってくれへんか?」
「すまん。完全に忘れてた」



見惚れてたんだもの
(誰に?)
(……お前に)
(なら、しゃーないな)


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