短編 | ナノ
守衛と笠松



『毎日お疲れさんっ』
「! 守衛さん」

体育館の鍵を閉めて開かないことを確認した笠松。その背後から、ライトを持った守衛が声をかけた

「脅かさない出くださいよ」
『いや脅かすつもりは無かったんだが…すまんすまん』
「ったく…」

ペコペコと頭を低くする守衛に笠松は何も言えなくなってしまった

『今日はもう終わりかい?』
「ああ、はい」
『じゃあ門まで送ってやるよ』
「いやそんな…悪いっすよ」
『なに。遠慮することはない!生徒の安全を見届けるのも守衛たる私の役目だ』
「はあ……」

さあ行くぞ!と、守衛は笠松の手を取って校門まで歩き出した



「あ、森山ー」

街灯下に携帯画面を覗く1人の男子生徒がいた。

『君の友達かい?』
「同じバスケ部のヤツなんす」
『へえ。じゃあもう大丈夫だね。気をつけて帰るんだよ』

守衛の手はゆっくり離れて行った

「ははっ 男を襲う物好きなんてここら辺にはいないですから心配ないですよ」
『そうか』

一度だけ肩をすくめると、守衛は再び闇の中へ消えていった。



「なあ笠松ー」
「?」
「オマエいつのまに守衛さんと仲良くなったんだ?」
「ついこの前だけど」
「ズルい!ずるいぞ笠松オマエばかりモテやがって!」
「なんの話だよ」
「知らないのか!?月水金担当の身長173センチで色白のまさにモデルのような体型(但し貧乳)をしたあの守衛さんは、密かに彼女にしたい人ランキング(森山調べ)で一位をとってるんだぞ!!!」
「しらねぇよ!ってか守衛さん女ァ!?」
「何を当たり前なこと言っている。守衛さんのピアスは右側に付いてるだろう?」
「★◇§*○¢£℃&◎(再起不能)」




知らぬが仏


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