短編 | ナノ
クラスメイトと桃井

※中学時代



「あ、ちょい待ち桃井」
「へ?」

帰りのホームルームが終わってすぐ、速攻で教室を出ていこうとする我がクラスのマドンナを呼び止めた。

「相変わらずバスケ部は忙しそうだな」
「まあね。で、何?」

気さくに答えてくれる桃井。
しかし彼女の目は語っている。"さっさと要件を言え"と。
オレの考えすぎかもしれないが。

「あー、夏休みのクラス会のことなんだけど…」
「ダメダメ。部活だから無理だよ」

まさかの即答キタ。

「えっと、8月の第二日曜日なんだk」
「だからダメだって。合宿だもん」
「7月にも入れてたんじゃねえの?」

だから8月なら空いてるかもって思って、クラス会を企画してたのに(クラス委員が)

「7月は山。8月は海に行くのよ」
「海に?男バスだけで?」
「うん」
「…………」

おいおい。そりゃいくらなんでも危なくないか。学校一の美女が百人強もいる思春期男児と一緒にひとつ屋根の下とか。

「……合宿ん時、マネージャーって大変じゃね?」
「そーなのよ!わかってくれる!?」

いつもの仕事に加え、炊事洗濯掃除が増えるから重労働なんだよね。と桃井は言う

「オレ、手伝いに行ってやろうか」
「いいの!?マネージャーって女子しかいないから超助かる!………あー、けどクラス会は?」
「オレも行くか迷ってたんだよ。イツメンの奴ら誰も行かないし」

だから、あんまり乗り気じゃなかったんだよね。実は。

「じゃあお願いしようかな。あ、もちろん先生に許可をもらってからだけど」
「うん。よろしく言っといて」



守ってあげるから
(えー、誰から?)
(頭がカラフルな狼達からだよ)


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