短編 | ナノ
黄瀬と彼女



「今週末、部休なんだ。何処か遊びに行こう?」


涼太君からデートのお誘いが来た。君の好きな所に行こう、と。


「そうねぇ」


部活をはじめてからは土日は毎日部活だし、部休の日だって仕事だとかで二人きりになれる時がめっきり減ったのだ。
久しぶりのデートでどこへ行こうかと迷う。行きたいところがありすぎて。


「駅前にね、新しくスイーツ食べ放題がオープンしたのよ」
「スイーツ……」


涼太君の顔が一瞬曇った。


「甘いものは嫌いだったっけ?」
「そんなことはないっスよ」
「よかった」


涼太君が甘い物好きだということはよく知っている。そしてモデルとバスケ部を兼業してる彼は減量中だということも知っている。
でも私は言った


「じゃあ決まりね」


とびきりの笑顔をひっつけて笑った。彼も同じように破顔して、楽しみだとか言った。
本当は微塵も思ってないくせに。



人に媚び売って
好かれようとするの
止めたらどう?

所詮偽善者なのよ


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