短編 | ナノ
小金井と水戸部妹



「ちょっとトイレー」

そう言って小金井はこたつから抜け出した。出た瞬間、冷たい空気に晒されて身震いをひとつ

「あ、慎二さんついでにカルピスお願いします」
「じゃあオレも飲んでい?」
「どうぞー」
「水戸部はどうする?」
「(コクン)」

水戸部は微笑んで頷いた。

「水割りは慎重にお願いしまーす」
「カルピスってそれ!?」

安易に請け負うのでは無かったと彼はちょっと後悔した。







「はいお待たせ」
「あざース」

器用にコップを3つ持った小金井が帰ってくる。こたつに潜っていた2人は温もりを惜しむようにゆっくりとした動作で這い出た。小金井も直ぐにこたつに入る。

「あーうま…」
「慎二さんカルピス作るのうま」

こたつとカルピス。いいね

「あ、それ何読んでんの?」
「なんか…バスケマンガ」
「へぇ!」

小金井の顔がパッと明るくなった。やはり彼もバスケ部。マンガであっても興味はそそられるのだろう。

「今何巻?」
「7。ちなみに17巻まででてます」
「へえ…ちょっと最初からオレにも見せてよ」
「えー」
「ダメか?」
「ダメじゃないけど」
「一生のお願い!」

なかなか首を縦にふって貰えないので、小金井は手の平を合わせて拝んだ。

「んーでもねぇ」

それでもいいよと言ってくれない。


ガタッ


「?」
「どうした水戸部」

ミカンを食べながら2人の様子を暫く眺めていた水戸部はおもむろにこたつから出た

「…………なるほど」
「え?何々、今のジェスチャーで分かったの?オレさっぱりだった」
「凛にいは"オレが持ってきてあげるよ"って言ってる。良かったですね慎二さん」
「……オマエなぁ」




お前が動け
(まずこたつから出ろ)
(寒いからいやー)


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