マネジと高尾
「高尾君ってステキだね」
「え?」
危うくタコさんウインナーが箸からこぼれ落ちるところだった。
「誰が、なんだって?」
「聞こえてたくせに。二度は言わないよ」
いたずらに笑うマネージャーに、オレのウインナーが食べられた。
「オレ、ステキじゃないよ」
「ならカッコいい」
「それも違うと思うけど」
「謙遜するなよ高尾君」
そんなこと言われても、ホントに分からないんだよ。褒められる理由がどこにあるのかなんて。
「だって、緑間みたいに頭がいいわけでもないし岩村サンのような高身長なんて夢のまた夢。おまけに宮地さんほどかっこ良くもないし…」
「それでも高尾君は他のだれよりもカッコいいと思うよ」
にっこり笑うマネージャー。
あなたの方がよっぽど美しく可憐であるのに、オレばかり褒めちぎる。
どうして。疑問ばかりがつのっていく。
「シュートやドリブルなんて練習すれば誰だってできるわ。リバウンドだって、シュートを待つだけの他力本願じゃない」
「え…あ、まあ……」
こいつ、今さらりとバスケ否定したぜ。
「その点、高尾君のパスって凄いよね。それら全部見極めて活かしてくれる」
「そう、かな…」
「そうよ」
彼女は言い切った。
バスケでの花形プレーを全否定して、一番影の薄いパスワークがステキだと。
「そんなこと言われたのはじめてだ」
緑間よりも宮地さんよりも岩村さんよりも、オレがいいと。
いったん理解してしまうと、だんだん恥ずかしくなっていく
「ね、高尾君」
「なに」
「誰よりもあなたが一番よ」
only oneな貴方へ
(大好きだよ)
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