先輩マネジと桜井
「これから暇かい?」
日曜日の午後、自主練をしてから帰ろうと思った矢先に先輩から声をかけられた。
「暇ですけど」
「そうか。なら校門のところで待ってるから来てくれないかな」
「……分かりました」
練習もせずに帰ろうとするボクを見る補欠の先輩方の視線が般若のようだったけど、先輩の笑顔を前にしてしまえば断ることなんてできっこなかった。
「お待たせしました」
「いや、いいよ。とりあえず駅へ行こうか」
「あ、はい」
携帯をパチンと閉じてボクの隣を歩く先輩。
先輩はボクより少し低いぐらいの身長で色白。おまけにスタイルもいい(主将調べ)ので、隣を歩くのがだんだん恥ずかしくなってきた。
せめて猫背じゃなければ…
「そういえば先輩、駅はなんのようなんですか?」
たしか先輩の家は学校の近くだった気がする。
「駅にっていうか近くのショッピングモールに。今日ケーキバイキングがあるんだ」
「それでなんでボク……あ、先輩って友達いないんですか?」
「…………」
黙った先輩の顔がだんだん青くなっていって、変な汗が顎を伝った
「スミマセンスミマセン!変なこと言っちゃいました!!」
「…いや、まぁ……ね。いないこともないけど四六時中バスケ部のマネージャーしてれば…ほら、ねぇ……」
「はあ、」
先輩が遠い目をする。
平日に限らず土日祝日も部活のために走り回ってる自分を嘆いているのだろうか。
カントク、人使い荒いから
「……だってあの、バイキング行くなら桃井さんとか他にもマネージャーがいるんじゃ?」
会話を無理やり戻す。
「いや、だって…その……」
「?」
青くなっていた顔が今度は赤色になってきた。見てて飽きない人だな、と思う。
「カップルで行くと1時間二千円…」
「へ?」
思わず耳を疑った。
え?先輩、今なんて言ったんですかちょっと。カップル?
「えええぇぇええぇ!?」
ボクと、先輩が!?
「あ、変な勘違いしないでよねっ!別に、良君ならケーキいっぱい食べるかなぁって思っただけなんだから!!」
真っ赤な顔して叫んだかと思えば、次はもじもじと恥じらう先輩。
「……勘違いしたままでも、私はかまわないけど」
「!!」
いやもうその上目遣いはズルいです
ツンデレ彼女ができました
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