10万打企画 | ナノ
コイツは確信犯


「赤司ー」


追試の範囲でわかんないところがあるんだがそろそろ教えてくれないだろうか。


「待て。今真太郎とリバーシ中だ」

「オレもあと10分で追試が始まるんだけどさ」


こうしてお前と緑間の勝負を眺め始めてから暫く経つ。
いい加減協力してくれても良いんじゃないかな。


「これが終わったらな」

「それ、言い続けて30分になるんだけど」


たった一問。
4点ぶんの価値しかないこの一問さえ当たればオレは晴れて合格。
そうすれば皆と一緒に地区大会に行けるのだ。


「5分でいいから」

「あとちょっと」


それなのに赤司はゲームに夢中だった


「問題ぐらい聞いてやればいいだろ赤司ー」

「大輝は黙っててくれないかな」


白黒でほぼ埋まった台を見つめる、他の意見なんて一切聞かない赤司。
パチりと将棋を指すようにして置かれた石はどんどん黒を引っ繰り返していく。
戦況は圧倒的に白が優勢なんだから今さら悩まずとも勝てるだろうに。


「ホント、オレ最大のピンチ迎えてるんですけど」


それでもダメですか。
そう問うても赤司は首を縦に振ってくれなかった。



「…もうオレの負けだから」

「そうか負けを認めるか」


見かねた緑間が降参してくれた。
赤司は勝った喜びからニヤリと笑ってた


「ならいいよ。それで、どこを教えればいいんだい名前」

「あ、ここなんだけと……」


さっきまでの態度とは180度変わった。
嬉しいんだけどリバーシごときでオレの成績が左右されるってどう言うこと。



「さ、オレが教えてやったんだから、もうできないなんてあり得ないよな」



分からなかった問題を丁寧に教えてくれた後、赤司はオレの目を見ながらにんまりとほくそ笑んだ。



コイツは確信犯


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