10万打企画 | ナノ
静かに時は過ぎて

「ねえ敦」
「なに?名前」
「敦の家に行きたい」
「ウチに?」

名前とふたりでコンビニに寄る途中、唐突に言われた。

「家なら毎日来てるじゃん」

夕ご飯作りに

「ああ違う違う。秋田にある寮じゃなくて東京の一軒家のこと」
「なんで」
「だって気にならない?」
「別に」

もともと、天井が低いあの家はあまり好きじゃなかったし。
赤ちんが秋田に行けって言ったから来たわけだから特に未練があるわけでもない。

「あたしは気になるなー」

だからなんなのその好奇心。わけわかんない
オレは若干イライラしながら残りのポテチを口に流し込んだ。

「ねー、そんなことよりお菓子無くなった」
「今朝買ってきてあげたばっかりじゃん」
「でも無くなった。だから買って」

ちょうどコンビニいく途中だし、一石二鳥

「あたしの財布を枯らす気?」
「えー、何のためにバイトしてんの」
「少なくともオマエのためじゃないわ」
「けち」

どうせそんなこと言ってもコンビニに着いたら籠いっぱいのお菓子を勝手かえる予定のクセに。
素直じゃないなぁ、もう

「………ねえ名前。今日の晩ご飯はカレーがいいな」
「なによ突然。今朝は親子丼とか言ってなかった?」
「気が変わったの」
「コンビニに生肉は売ってないわよ」
「じゃあ唐揚げでいいよ」

歩いてたらどこからともなくカレーの匂いがして、急に食べたくなったんだもん。いいじゃん唐揚げカレー。

「はあ…」

名前が眉間を摘んでため息を吐いた。

「あんたってホント、食べ物にしか興味無いのね」

そして、やれやれと肩をすくめてまたため息をつく。
それがちょっとカチンときたり

「名前のことだって考えてるよ」



静かに時は過ぎて


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