10万打企画 | ナノ
時には優しさも残酷



ごめんない私189センチ以上で金髪の人しか興味無いの。そう言ってフられた初めての恋で初めての告白。お前の基準レベル高過ぎだろって思った。てか、その項目に当てはまるのってこの学校にひとりしかいないだろうが。


「なあ黄瀬ェ〜」


開脚して、床に上半身をつけるストレッチ。オレはそれの補助をしていたのだが、キラキラ眩しい黄色を見てたらイライラした。


「い、ぃいだだだだだだ」


ギブギブって叫びながら床をタップする黄瀬。無理やり体を押し付けられて涙目だ。痛い?んなもん知るか。オレの傷ついた心の方がよっぽど痛いわ。ずきずき、ずきずき。黄色の髪が揺れるたびに胸の奥が軋でる。


「あ、でもほらいい経験になったじゃないっスか」


黄瀬は「オレにはない体験っス!」ってフォローしてるのか貶してるのか分からない笑顔を向ける。そりゃあお前はふられたコトなんてないだろうよ。隕石が学校に落ちるより確立は低いと思う。何なら誠凛にあるって噂の、キャビアフォアグラトリュフの三大珍味のせパンでも掛けてやってもいい。
オレだって身長175センチはある。とあるメンズ雑誌では女子との身長差はバッチリ丁度だっていってたのに、モデルが居たんじゃ全く効果ない。学校中の男という男が霞んでしまう。


「名字っちも顔良しルックス良し頭良し、なんだけどねぇ…」
「なんか言いたげだな」


今度は背中合わせで、互いの背筋を伸ばす。なので黄瀬の表情をこっちから確認することはできないのだが、声色で今のこいつの表情はなんとなく分かる。はあ、とため息ついてるし。


「その口の悪さがどうも…ねえ」
「ああ?何処がだよ」
「ほら、それそれ」
「?」
「だから…」


黄瀬曰く、オレの言葉には端々に挑発的な感じがあるんだとか。え、別に普通だろ?笠松先輩もこんな感じで話すだろ。黄瀬をシばく時とか特に。


「そうかぁ?」
「絶対口悪い!」


だからフられるんだと、自分で言った事にウンウンとうなずいてる。なに納得してんだ黄瀬。オレのふられた理由はお前が居るからだと言ったじゃんか。
この馬鹿犬を黙らせたくて、組んでいた腕に力を入れて黄瀬の腕を圧迫した。黄瀬は無言で耐えてたが解放したあと、静かに痛む腕を擦っていた。ざまぁみろ。


「もーじゃあ、女の子紹介するから機嫌治してよ名字っち」

「ホントか!?やったーラッキ、……あ」


危うく黄瀬の提案に乗っかってしまうところだった。
こいつが集める女の子ってーのは、十中八九黄瀬に興味がある子だ。いや絶対そうだ。付き合う気がない子を紹介されてもしょうがない。女なら誰でもいいわけじゃないんだから。


「はめやがったな黄瀬」
「いやぁ試したんスよ名字っちー」


これでホイホイ釣られるような男なら友達辞めてたよ。と笑った。あれ、今絶交されそうだった?
この笑顔で、本気で言ってるんだから怖いよな。




時には優しさも残酷
それが友情ってもんでしょ?

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