こんな君は知らない
私と彼女は世間一般的にいう幼なじみというやつで、登下校はもちろん家に帰ってからの殆どの時間を一緒に過ごした。
そんなんだから自然と服の趣味や性格が似てくる。背格好も同じであるせいかよく双子か姉妹に間違われた。
「今日もさ、公園のクレープ屋のおばちゃん私達のこと双子ちゃんなんて呼んでたよ」
「ちょーっと似たようなコーデしただけなのにあんなに簡単に騙せちゃうなんてね!」
ウケるーと彼女は笑った。
私もつられて笑う。
「ね、今度の日曜日もどっか出かけようよ。私ちょうど部活休みなんだ」
次はどれ着てく?水玉ワンピかな、それともニットのカーディガンにバルーンスカート?
なんて、私は雑誌を広げて彼女に提案する。
「あー…その事なんだけどねさつき」
「なぁに?」
すると彼女はバツの悪そうな顔をした
「デートが…あるの」
もじもじと顔を赤らめて呟く彼女。
私は深い衝撃を胸に受けた
デートって何、誰とすんのこの子!
って言うかいつの間に作ってたのよいっつも私と居るのに
「その…バスケ部の人なんだけど」
この人よ。と私にスマホを見せてくれた。彼氏と撮ったプリクラがあるらしい
「すっ、諏佐先輩ィ!?」
まさかアンタがこーいうタイプの人間を好きになるなんて思ってもなかったのに…
敵は身内に有り!ってやつね
「あら、でもあなたこんな服持ってたのね」
プリクラに写ってる彼女は私が見たことない黒を基調にしたシックで大人な雰囲気をかもしだした服を着ていた。
諏佐先輩のファッションセンスもなかなかなもんだから、2人並ぶとすごく合ってる
「彼が、こういうのも似合いそうだねって…以前言ってたから」
「ふーん」
どのプリクラを観ても、私の知らない大人な彼女が妖艶に笑ってた。
こんな君は知らない
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