僕だって恋ぐらいする
「いいなー」
うちのマネージャーは先ほどからそればかり。
ストローを噛りながらショーウィンドウ越しに道路を眺めてはため息をついてます
「きっとクリスマスイブになっても一人淋しくミルクシェイクを飲んでるのはあたしだけなんだろーなぁ…」
はぁ。と彼女はまたため息をつきます。
そして彼女は気付いているのでしょうか
君が座る前からボクがここでシェイクを飲んでいることを。
「あの…」
「あー、またカップルだ。まったくあっちでもこっちでもイチャイチャしやがって…爆発してしまえ!」
……無視ですか
ここまで雑に扱われると、利根川より長いといわれているボクの堪忍袋の緒もそろそろ切れますよ
「ていうかテッちゃんも暇そうよね」
ああ、やっとボクの事を見てくれました。やっぱりボクが居るって知っててここに座ったんですね。よかったです
「あ、違うか。テッちゃんはシェイクが彼女だもんね」
「む」
その言葉にカチンと来ました。
いくら好きだからって流石のボクもシェイクを彼女にしようとは思いませんよ
「ボクだって好きな人ぐらいいますよ」
「え?だれだれ!!?」
とたん彼女がテーブルに両手をついて身を乗り出してきた
ボクはここぞとばかりにずばっと言ってやります。
「ボクの目の前に」
ボクだって恋くらいする
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