不覚にもときめいた
私は青峰大輝が大嫌いだ。
一番前のど真ん中でいつもいびきをかいて寝ている。
朝、教室に入り机に体を預け夢の世界に旅立つとそれからもう起こされないかぎりは絶対起きない。
「青峰、起きなさい」
「あと5分…」
そんなやりとりが1日に何度も行われる。私はいつもイライラしていた
授業中に起きてるのは当たり前だし先生の質問には答えるのが生徒というもの。
なのに青峰大輝はぐだらぐだらとしてるだけ。生気のない変事や怠慢な動作、起きたと思えば勝手に早弁する始末。
一から百まで、なにもかも気に喰わなかった
「あんなんで、いける高校なんてあるのかしら…」
そう思ってたある日私はたまたま体育館前を通った。
ダムッ …ダム
「なに?」
誰もいないはずの体育館から音が聞こえる。シューズが床をこする音とボールが弾む音。私はそれの正体が知りたくて、重い扉を開けた
「バスケ……」
そこにいたは私の知らない彼だった。
いつもの眠っ気は跡形もなく消え去っていて、目は輝いていた。
青峰大輝、あんな顔もできるんだね
不覚にもときめいた
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