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求めることが愚かでも


「───それではバスケ部一同よりご冥福お祈り申し上げます」


キャプテンが代表して、ご両親方に挨拶をした。


「ああ、ウィンターカップも近いのにわざわざすまないね」

「いえ。彼女にはいつもお世話に……」


キャプテンの形式張りの挨拶なんて聞くのを止めて棺に入った彼女を見やった。

(キレイな肌…)

雪より真っ白な肌をしていた。
唇にはほんのり紅が乗っていて、薄く切りすぎたと気にしていた眉毛はきりりと書かれていた。

(ホント、なんで死んじゃったんだろう)

大雪の日、夜になっても帰って来ないのを心配した両親が玄関を出てすぐのところで雪の中から発見したらしい。
彼女らしい死に方だと、不謹慎に思ってみたり


「ほら紫原、お前も何か言っておけ。もう今日で会えるのが最後なんだからな」

「うん……」


監督に言われて、オレはたくさんの花々に囲まれた彼女の写真の前に立った。
言うことは決まってる


「───君は雪かき上手だったね。東京ではこんな雪見たことなかったから雪かきなんてしたことなくて…でも君は毎朝毎晩してた」


朝練の始まる前に道をつくってくれてたり帰り道をせっせと掘ってくれた。


「オレ、最初はこんな雪のなか部活にくるの憂鬱でたまんなかったけど…君が毎朝雪かきをして待ってくれてると思うと、朝一番で部室に来るのが楽しくなったよ」


君のおかけで、お菓子よりも好きなことができた。


「ありがとう。大好きだった」


誰よりも愛しい存在になってたこと、失って初めて気付くなんて。


「どうか、安らかに………」


どうしよう目の前が見えないや
オレは君なしじゃ生きられないのに





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