きっと奪ってあげる
「ねえ大我、このリングなに?」
手を伸ばせばチェーンにかかったリングが無機質な音を立てる。大我の体温がうつってなま暖かい。
「いつもあるよね。ここに」
抱き寄せられてギュッとされるとこのリングはちょうど目線と同じ高さにくる
「ねえ、誰の?」
かまをかけてみた。
本当は私何も知らない
「なっ…別に、誰のでもねぇ、よ……」
「ふーん」
顔を真っ赤にして動揺なんてしちゃって…なにか隠してることバレバレよ
「私に話せない事とかあるんだ…」
自分が意地悪な女だってわかってるわよ。でも知りたいの、大我の深くまで
「いや、その……ごめん」
すごく申し訳なさそうに言葉を紡ぐ大我
でっかい図体してるくせにこんなちっちゃく丸まって謝るなんて貴方らしくないじゃないまったく
「言えないなら別にいいわ」
昔のことなんて忘れちゃうくらい、私が貴方の心を満たしてあげる
その縛られた心を、
きっと奪ってあげる
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