砂糖水に溶かしたら | ナノ

アンラッキーアイテム




“そつあるを持ってこい”


と、朝っぱらからメールが来た。
しかも休日。
オレは受信音でベッドからずり落ちた


『卒アルぅ?』


なんだ急に卒アルなんだ。
アイツも全くおんなじ物を持ってるだろうに…


『わっけわかんねー』


まあ、それでも緑間の滅多にないお願いの1つだと思えば聞いてやらなくもない。
仕方ないから朝食をいただきに行くついでに小学校と中学のを持っていってやろう。

オレは手早く寝間着代わりのスウェットを脱いでジーンズとパーカーに着替え、ビーチサンダルを履くと、卒アル2つを抱き抱えて三軒隣の緑間家を目指した






『真ちゃーんおっはよー』

「遅いぞ悠人。」

『んなこと言ったってメールきてから5分も経ってねぇよ』


部屋に入り飲みかけらしいコーヒーをもらって飲み干した


「それで、そつあるとやらは持って来たのか」

『卒アルとやらって……お前も持ってんだろ』

「なに?」

『コレだよコレ』


持ってきたアルバムを机に広げた


「これは"卒業アルバム"!」

『そーだよ』

「そうか、だから卒アルと言うのだな!?」

『ああ、うん…』


今さらかよ。
さすがに卒アルって言われたら卒業アルバムのことだと誰だって気づくわボケ
オレに余計な労働させやがって


「それでは行って来るのだよ」


緑間は卒アルを小脇に抱えて部屋を出ていこうとする


『ちょっと待てよそれ持ってどこ行く気だ』

「部活に決まってるだろう。今日のラッキーアイテムが卒アルなのだから持っていかないわけがない」

『え、でも…』

「ああほら、もう時間がない。オレは行くぞ」

『ちょっ!』


オレの卒アルなんだけどー!
人の話を聞きもしないで緑間はオレを部屋に残したまま部活に行ってしまった。
あれ、寄せ書きとか文集とか写真がいっぱい入ってるから誰にも見せたくないんだけど!っていうかアレにへそくり3万隠してた気がする


『真ちゃん待って!卒アル返せー!』


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