視線の向こうには
『おはよー真ちゃん』
朝、チャイムを鳴らさずに玄関をくぐっておは朝を見ている緑間に挨拶をする。
「うるさいぞ悠人、今いいところなんだから静かにしていろ」
『はいはい……あ、卵焼きもらってい?』
緑間の皿にのっかってた卵焼きを手掴みで貰う。
『真ちゃん今日のアイテムは?』
「目覚まし時計だ」
『へー』
するといつのまにか緑間の手には目覚まし時計が握られていた。
毎朝使ってるお気に入りの目覚まし。
『じゃあもう行ける?』
「ああ、大丈夫……て、オマエがダメなのだよ」
『へ?どこが?』
ちゃんと制服着たしカバンにはお弁当も入れた。
特に変なところは無いと思うのだけれど
「なんだこの髪は。みっともなく跳ねてるのだよ」
『えー、このくらいばれないと思うけどなぁ…』
って言ってるのにヒトの話を聞かない緑間はオレを洗面所までつれてくと、てきぱきと跳ねた髪を直してしまった
「うむ、完璧。行くぞ悠人」
『はーい』
カバンを持って玄関に向かった。
「何をもたもたしている。先に出てるぞ」
『あっ、待って!』
解けた靴ひもを結んでいたら、じれた緑間が出ていってしまった
『置いてくなんて酷いよ真ちゃ…ん』
顔を上げて緑間の姿を目で追う。
彼はこっちを見てなくて、道路の向こうの方を見ていた。
『何見てんの?』
オレも緑間の隣に立って同じように眺めた。
「ちーっす!」
遠くから、手を振ってやってくる人がいる。
あれは……
「高尾…」
緑間がつぶやいた。
そう、あれは高尾と言う緑間のクラスメイトだ。
前へ 戻る 次へ (4/11)