砂糖水に溶かしたら | ナノ

君がいれば





ぽかぽか陽気の中に花びらが風で舞う。入学式にはピッタリなその風景が、オレの好み


『ここが秀徳かぁ…』


都市の学校としては珍しく緑がいっぱいだ。ただ花粉がアレなのが悩み所




「真白……」

『……あ、緑間!』


聞き覚えのある声がして、後ろに振り返れば左手にテーブルがトレードマークながり勉メガネこと緑間真太郎がいた


『学ラン似合ってるな』


緑間に駆け寄って彼の制服姿を眺める。帝光のブレザーよりもこっちの方が断然いい


「お前こそ、よく秀徳に合格できたな」

『そりゃー緑間が此処に決まった次の日から猛勉強したもん』


泉真館行くとか言われたらオレじゃどうあがいてもムリだったよ


『もしかして気ぃ使ってくれた?』

「そんなわけ無いのだよ」


キッパリ言い切る緑間はメガネのブリッジを、気にするほど下がってもないのにいじる。
それは照れ隠しの証拠である


『そっか!ありがとう緑間』

「だから違うと言ってる」

『はいはい』


こうやって折れるのはいつもオレの方


『なあ緑間、今日のラッキーアイテムなんなの?』


いつもは何かしら手に持っているのに今日は手ぶらだ。
入学式だから遠慮してるのだろうか


「ちゃんと持っているのだよ」

『?』


緑間はポケットに手を入れて何か取り出してオレに見せてくれた


『安産のお守り…』


子供でも産むつもりなのかコイツは。
っつーか安産じゃなくてもよくねーか


「赤色のお守りだ」

『……なるほど』


安産がキーワードじゃないのね。


「それはそうと真白。クラスは確認してきたのか」

『したよ。B組』


緑間は?とオレは聞き返す


「Aなのだよ」

『そっかー。一緒じゃないのか』


頑張って秀徳入ったのに、クラスは違うとかちょっと残念。


『でもまあ、いっか』


隣のクラス行けばすぐ会えるし。
登校も一緒に来れればオレとしては十分



「む…真白、そろそろ時間だ。いくぞ」


オレも緑間にならって時計を見れば、針はホームルームの時間5分前を指していた


『登校初日に遅刻なんてあり得ないもんな』


こうして、2人で校舎に足を向けた。


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