砂糖水に溶かしたら | ナノ

もう遅いよ




「おい真白」


屋上でお弁当を食べていると緑間に呼ばれて。
さっきまで高尾くんと楽しそうに話してたくせにいまさら何の用がある?
ムシだ、無視


「まったく」


緑間は深いため息をついた



 〜♪



『「?」』


唐突に電子音が屋上中に響いた。
オレのはマナーモードだし緑間の携帯はたしか黒電話の音、だとしたら


「あ、オレんだ」

『メール?』

「そう」

「誰からだ」


高尾君はちょっと待ってとひとこと言って箸を置き、内ポケットからスライドの携帯を取り出した


「あ、大坪さんから」

「キャプテンが?」

「すぐに体育館こいって。多分次の試合の打ち合わせ」

「オレも行ったほうがいいか?」

「いいや。オレ一人でいいと思うよ」

『いってらっしゃい』

「うん、行ってきます」


高尾は簡単に弁当を包むとぱたぱたと屋上から姿を消した


『……………』

「……………」


しばらく沈黙が続いた


「真白」

『………なに真ちゃん』

「なぜ拗ねてるのだよ」

『別に』

「なにも無いはずないだろう。オレはいいが…高尾が可哀想だ」


その"高尾が"にカチンときた


『いつもそうやって高尾高尾って!オレのことも呼んでよ!!』

「なに言っている。ちゃんと呼んでいるだろう」


そういって、緑間は今日のラッキーアイテムであるさけるチーズを食べていた


『呼んでないよ!二人きりのときはいつも名前で呼んでくれてるのに』


最近では高尾君が増えて3人でいることが多くなったし、帰っても名字で呼ばれるばかり。


『オレよりも、高尾くんの方がいいんだね!』


どうせ高尾くんはオレと違ってバスケ上手いし頭もいいし…真ちゃんにはお似合いだよ

って、思いの丈を言葉に乗せて飛ばしてやった。


「悠人……」


真ちゃんは、今までにないくらい目を開いてこっちを見てる


「すまない」

『なにを今さら…』


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