オセロゲーム Part3 | ナノ
昔の仲間と (1/2)





「よーし、全員いるな。じゃあ行くぞ」

「「「ありがとうございました」」」


数日間、お世話になった民宿の人達にお礼を言って、オレたちはかさばる荷物を抱えて駅へ向かう。


「しゃー、生きてるオレっっ。何度も死ぬかと思ったよ。早く家のフトンで寝てー」


キツい合宿を無事終えたて、小金井先輩は両手を上げて喜んでいた。確かにきびしかったと思う。帝光の合宿もヤバかったが誠凛もなかなかだった。特にカントクの飯が。


『家に帰ってケーキ食いてぇ…』


そして駅前にできたっていうケーキバイキングに行くんだ。そんな事を思いながら、駅を行くために角を曲がった。


「ちょっとどこ行くのよ」

「へ?いや駅……だけど」


当たり前のように駅へと向かおうとしたオレたちはカントクに呼び止められた。


『こっちですよね駅は』


これから進もうとしている道を指差す。カントクはひとりだけ反対方向を目指していた。


「なんのためにここで合宿したと思ってるの?今年はここで開催でしょーが!」

『え?……ああ』


一瞬カントクが何を言ってるのか分からなかったけど、誰よりも先に気づいた伊月先輩が出した携帯画面を見たら納得した。


『抜かりねぇな…』


全国高等学校総合体育大会男子バスケットボール競技大会、準々決勝。海常対桐皇学園。これを見るのも予定に入れて宿を取るとは、カントクちゃっかりしてる。


「このまま見に行くわよ、全国大会」


楽しそうなカントクを筆頭に、オレたちはバスに乗って会場を向かった。


『にしても、黄瀬か…』


自分が二軍に落ちたとほぼ同時に昇格した黄瀬。オレはあのチャラチャラした態度があまり好きじゃないから黄瀬とはなるべく接点を持たないようにしていた。しかし大輝とはかなり仲が良かったようだ。よく2人で練習していたとも聞くし。


どんなんだろうなぁ……


なんてったってあの大輝だ。オレもついつい周りが見えなくなって、気づいたらボールと大輝しか考えてなかったことがよくあった。あれは失敗したと思ってる。

黄瀬は、果たして大輝にとってどれくらいの相手になるのだろうか。



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