オセロゲーム Part3 | ナノ
ちょっとずつ (3/4)





『ぅお……ふ、』

砂浜での練習は予想以上にキツかった。ドリブルが出来ないぶん、パスワークが何より重要となってくるしシュートだってより確実性を求められる。

『(よく考えられてんな)』

この練習、ただ単に足腰鍛えられるだけじゃない。




 ───ズボ




『……弾まねーのに』

「バウンズでパスしてどーすんだ黒子ォ!!」


砂の上ではボールは弾まないに決まってるのに、テツヤはクセでやっちまってた。


『かくいうオレも動き出しを早くすんの、難しいな』


先を読むのは得意だ。
しかし最近はもっぱらドライブやカットしかやってこなかったから、常にパスを出し続けなければならないこの状況は思った以上に神経にクる。




「っし!!」

「おおお」


ボールを持った火神君はこの足場が不安定な中ジャンプした。


『だから無理だっつーのに』




 ───スカッ




「おおっ!?」

「……おぶっっ」


リングに僅かに手が届かなかった。行き場を失ったボールと火神君はそのまま砂浜にダイブイン。


「オマエの辞書にはまじダンクしかないんかダァホ!!」

「くっそっ」


悔しそうに体を起こす火神君。
本気でダンクを決めるつもりだったようだ。

『ただのバカだ』

それにしてもダンクができる身長が羨ましい。オレにあと10センチあれば…


「…………」

「黒子、寝んなあ!!」


ミスディレクションを使って砂の上で寝てたテツヤは主将に見つかった。


『辛いのはわかるけどうつ伏せはやめようよ』


顔が砂と汗でえらい事になってる。


『!……っとー』

「あ、あスマン」

『いえ』


砂で足を取られた鉄平さんとぶつかった。ふらふらしてて、凄くしんどそう。


「大丈夫?ブランク空けにはいくらなんでも…」

「いや、大丈夫。なまった体たたき直すにはこんぐらいでちょうどいい」


誰よりも先に息があがって辛そうな鉄平さんは、最後まで弱音を吐かずに(地獄の)メニューをこなしていた。


『(先輩達が思い出しただけで気持ち悪くなるの分かった気がする…)』


この後体育館で通常メニューが待ってると思うとどこからともなく吐き気が。


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