探り合いから始まる (2/2)
「マジかよ……」
「今度こそ完ペキ……あの青峰を止めたぁ!!」
「うぉお、スゲェー!!」
両エースによる探り合いから始まって、だんだん熱くなっていく桐皇対海常。
青峰大輝という難攻不落の男のシュートを見事防いだ黄瀬擁する海常が一歩早く波に乗った。
海常コールが鳴り響く中、ボールは笠松キャプテンへ行く。
『黄瀬にはちょっと無理だし…森山さんは行けそうなんかな』
黄瀬には大輝がぴったりくっついててボールを回す隙はない。逆に森山さんが謝りキノコのマークを抜けてフリーだった。どうする?もしオレが笠松さんだったら……
『パスのフェイクをかけてドライブ…』
コートでは笠松さんが森山さんの名前を呼びながらパスの動作をするがソレは相手を惑わすためのフェイクで、対峙している腹黒メガネの気を紛らわせてからドライブで仕掛けていた。
しかし桐皇の情報収集家によって動きは完全に読まれていてディフェンスは緩まない。
『そこで、お得意のターンアランドかーらーの…』
フェイダウェイジャンパー
でも、腹黒ろメガネには通用しない。しかし笠松さんはかまわず打った。
もちろん防がれて、今吉の指先がボールの軌道をずらすとガコンッとリングに弾かれた。
「んがあっ!!」
客席に聞こえるほど叫んで、若松との陣取りに勝った海常の早川がリバウンドをとった。
そのボールは、残念なイケメンこと森山にパスされた。
『森山さんがスリーか…』
回転の悪い独特な森山のフォームだったが、ボールは難なくリングをくぐり抜けた。
「いいぞいいぞ森山!!」
「オッケ、ナイシュ!」
海常の見事なチームプレーで着実に点を稼いでいった。
「第一Q終了です」
18対13になったところで、ちょうどブザーがなった。今のところはまだ海常が優勢だ。
「なあ藤井、さっきから気になってたんだけどさ」
『うん?』
二分間のインターバル中、隣に座っている降旗君に声をかけられた。
「お前って予知でもできんの?」
『…………はあ?』
何言ってんだ降旗。そんな天地がひっくり返ってもあり得ない冗談を真剣な顔して聞いてくるなよ馬鹿馬鹿しい。
「だ、だってよぉ、お前が呟いたこと…ぜんぶ本当にそうなからさ」
ああ。とオレは納得した。降旗君が言ってるのは第1Qで呟いてたオレの独り言のことだ。
『オレには予知能力なんてねぇよ、タダ分かるだけ。ずーっと見てるとな』
その人の体型、クセや得意不得意や性格から「このシチュエーションではこうやる」って予測を立てるだけ。
『降旗君だって誰かとマッチアップしたらちょっとぐらいは考えるだろ?』
「ああ、まあな」
あんまり当たんないからすぐ抜かれるけどな。と降旗君は小恥ずかしそうに頭を掻いた。「普通はそんなもんだよ」とフォローをしてみたが、そういうのが得意なオレが言っても効果は薄い気がした。
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