オセロゲーム Part3 | ナノ
‐Tip off‐ (2/4)




「オラァいけぇ」

「ブッつぶせ──」


体育館に入るなり、罵倒を浴びせられる。けっこうな強豪校らしいけどホントに強いのか?とてもそんな感じには見えなかった。



「それでは試合を始めます」



ピッと鳴るホイッスルにも、その言葉にも覇気が無い。いかにも嫌々やっているような言動の主審だった。


『まー……いいか』


オレも一応SGとして出てはいるけど、別に楽しくもない試合に全力を注いでもしょうがないから適当に流してもいいと思ってるし。負けても勝っても、どうせ二軍からは出られない。




 ───ダムッ




『ぐっ…』


スティール狙いで近づいたらキツいアタリで仕掛けられた。これはファールだろうと思ってボールを追うのを止めたのだが、タイマーはとまらなかった。


「おおしゃナイシュ!!帝光っても二軍じゃやっぱこんなもんかよ」


駒木に点数が入るたびにヤジが煩かった。シュートの半分以上はファールで稼いでるクセに、よくもまあデカい顔ができること。


『あんまりナメてっと……っ!』


パスカットで奪ったボールを自陣にドリブルで運びレイアップ。
その時駒木のセンターとぶつかった。これは確実にディフェンスファール。フリースローを一本貰ったと、思わず口元が緩んだ。


「…バカだな」

『!?』


しかし思っていたよりジャッジは公平には行われなかった。駒木のセンターは、オレを嘲るように笑う。

 ──ピーッ

ホイッスルが鳴って、主審の手はオフェンスファールを意味していた。なぜだ。思わず目の前にいるセンターを睨み上げたが、逆に鼻で笑われた。


『くそ……』


最初はどうでもいいと思っていたが、だんだんイライラしてきた。耳障りなギャラリーのせいか、帝光の点数が伸びない。仲間内のパスワークが上手くいってないのも原因の一つたが。

ちらりとスコアボードを見れば48対69。駒木がリードしていた。



「……黄瀬」



スコアボードからベンチへ視線を移すと、黄瀬君が声をかけられたところだった。


「帝光選手交代です」


入れ替えで入ってきたのがテツヤではなかったのはちょっと残念だったが、黄瀬君にマークが集中するならばそれはそれでいいと思った。





「って……」

「おおっ!?」


黄瀬君が入ると、案の定駒木は二人ほどマークにつかせた。それも今まで以上に無理矢理な。
徹底的に潰す気だな、あれは。


「いって…っつ」



相変わらず不平等なジャッジが続く。ボールを持ったまま動けない黄瀬に、声をかけた。


『よこせ黄瀬!』

「っ!」


黄瀬君は確かにオレを確認した。しかし直ぐに目を逸らして自らディフェンスを突破しようと動いた。
なぜお前もパスをくれない。そんなに二軍が信用ならないのか。

「黄瀬なら」だなんて期待したオレがバカだった。




prevbacknext
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -