オセロゲーム Part3 | ナノ
昔の仲間と (2/2)





数分程遅れてやってきたバスに乗り込んで、オレたちは準々決勝が行われる体育館へ向かう。それにしても、これだけ男子が集まるとバスが異様に狭く感じる。


「会場までどんくらい?」

「バスで20分ぐらいだと」

『結構かかるな…』


なれないバスの所為か、膝が少し気になった。秀徳戦の時苦しめられた成長痛はもう治まってるはずなのに。


「直也君ココ座りますか?」

『おお、わりぃ』


テツヤの隣を譲ってもらい座った。いや、それにしても狭いな。



「つーか、こーゆーのは最初に言ってよカントク」

「言ってたら合宿中、気が散るからよ!けど見る価値大でしょ、海常対桐皇学園。「キセキの世代」擁するチーム同士の試合だからね」


カントクは本当に楽しみにしているようだ。バスが出発してからまだ二、三回程しかバス停に止まってないのに携帯を開けたり閉じたり…


『あ。テツヤ、あれは火神君に言ったのか?』

「………忘れてました」

『今のうち言っとけ』


テツヤは「そうですね」と言って、上手く体を捻らせて後ろを向いた。


「火神君」

「……っ、なんだよ!?」


ぼんやり外を眺めていた火神君は、突然テツヤに話しかけられてビクリと体を震わせた。


「出発する直前、緑間君に伝言をもらいました」

「……は?」


そう。
火神のスキルアップのため助言をくれた真太郎に、テツヤとオレがお礼しに行った時に頼まれた言伝。


「"バカすぎて懲らしめただけなのだよ"」


跳ぶだけならノミでもできる。と真太郎は嫌味ったらしく言ってたっけ。


「ほーあのヤロ……」

『落ち着け火神君…』


まだ話は続いてるんだから。


「あと、オレが倒すまで負けるな。だそうです」

「ハッ、負けるかよバーカつっとけ!」


機嫌を損ねた火神も、真太郎からの挑戦状には笑わずにはいられなかった。真太郎がリベンジとはね。黄瀬だけじゃなく、あの頑固者まで変えてしまうとは。この男はまったく末恐ろしい。




 ***




「すっげー!!これがインターハイ!!」


初めて見る会場に、バスケを始めてまだ2年の小金井先輩はやや興奮気味。他の選手から注目を浴びて若干恥ずかしかった。


「カントク、お目当ての試合は?」

「この試合のアト……ちょうどもうすぐよ。あと15分ぐらいね」

「黒子、藤井……どっちが勝つと思う?」

『え?そりゃあ……うーん』


単純な考えれば大輝なんだろうけどね、黄瀬も決して弱くは無いし……


「黒子はどうだ?」

「わかりません……「キセキの世代」のスタメン同士が戦うのは初めてです。ただ、黄瀬君は青峰君に憧れてバスケを始めました」

「!」

『憧れ…』


確か、バスケをやってる大輝を見て入部したとか。


「そしてよく二人で一対一をしてました……が、黄瀬君が勝ったことは一度もありません」

『そうか、無いのか』


別に勝ち負けを気にしてるわけではないが、今日もまた負けられない大輝にちょっとだけ同情した。でも、まあ…大輝が楽しいと感じる事ができるなら、勝ち負けはどうでもいいのか。



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