オセロゲーム Part3 | ナノ
きっかけがほしい (4/4)







「誠凛はずいぶんと動きがよくなったな」

「そうですね。ただなぜか火神だけは外に走りに行ったようですが、何か隠してるかも…」


誠凛の向かい側のベンチでは秀徳の監督と大坪が試合の様子を観察していた。


「…違うな。とゆうか大したモンだ。17才の娘とは思えんな」

「?」

「火神の武器は跳ぶ度に高さが増す跳躍力だ」

「はい……しかも試合中に。信じられません」

「あれは気合や根性といった精神論ではなくちゃんとタネがある。それに気づいての仕込みだろう…正直驚きを隠せないな」

「……では藤井はどうですか」


大坪は、緑間をロールで抜くも結局はシュートを弾かれる藤井を見た。


「ああ、あの"元キセキの世代"だという…」

「緑間がやけに警戒していたようですが実際はそうでもないですよ」

「しかし緑間の言っていたスタイルとはちょっと違うな。もしかしたらまだ本気ではないのかもしれん」


警戒を怠るなよ、と監督は大坪に釘を刺した。












「………どうした藤井」

『なにが?』


試合中、藤井の様子に違和感を感じた緑間はそのわけを尋ねた。


「本来なら、オマエのパスワークも黒子に負けず劣らずのはずなのだよ」

『んなわけあるか。パスはテツヤの方が数倍良いに決まってんだろ。今日調子出ないのはあれだ……あれだよ』

「?」


もごもごと言葉を濁らせ、藤井は緑間の背後に隠れるように立った。
視界良好となったコートでは速くパスが繰り広げられてる。

「(なるほど)」

緑間も、調子の出ないワケを知った。


『ボールが怖い』


期待などしてはいけない。
望んではいけない。
誰の手にも触れてもらえないボール程、虚しいモノはない。


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