きっかけがほしい (2/4)
やっと練習に混ざれるかと思ったらいつのまにか昼食の準備してて、気が付いたら午後になっていた。
今日は一度も砂浜で走ってないんですけど。
「今日から体育館練習は予定変更で秀徳高校と合同練習よ!」
「「「「えええ!?マジで!?」」」」
そりゃちょっと急すぎる。ってかスキップしてたのはコレを企んでたからか。
「よく許可してくれたな、向こう……」
「そりゃあ……」
『秀徳に断る理由がないから、ですよね』
秀徳にとって、誠凛の情報なんてどんな細かいコトだって喉から手が出るほどほしいに決まってる。
「だが賭けだな正直」
「え?」
ポツリと呟いた鉄平さん。
流石、彼はこれだけの会話でカントクが何をしようとしてるのかを悟ったようだ。
『(つまりはバスケスタイルの確立か)』
自分より格上の相手とやることによって刺激をもらおうって魂胆だと思う。
「あ、でも条件を出されたわ」
「なんだ?」
「藤井君を出すこと」
『オレ?』
「どうやら向こうも……おそらく緑間を通してあなたのコトを知ったようね」
『そうですか』
カントクは悔しそうにしてたけど、オレにとっては想定内。出場時間が5分だろうと10分だろうと、キセキの世代とあれだけやりあってれば覚えもよくなるだろう。
「よおし、じゃあ始めるぞ」
練習開始の声と共に、先発の選手はコートへと集まっていく。オレは当然ベンチスタート
「あ、火神君はちょいまち!」
いつものようにコートの中へ入ろうとする火神君をカントクは呼び止めた。
「ちょっとみんなの分の飲みもの買ってきて!」
「は?」
何を言いだしたかと思えば、そんなこと。飲み物ならオレが作るのに。
「砂浜走って500m先のコンビニまで!往復たった1kmだから……」
「なんで!?しかも砂浜!?」
ゴー!と右手で外を指すカントク。めっちゃ笑顔だ。なんか企んでる
「でも重いだろうから一本ずつでいいわよv」
「それ何往復!?いやがらせ!?」
「みんな練習してるんだから早くね!」
「じゃあパシリさせんなよ!!でください!!」
文句を言う火神君だったが、笑顔のカントクは問答無用で行かせた。
砂浜走って一本ずつというのは筋力トレーニングのためか…
『(火神がんば)』
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