きっかけがほしい (1/4)
やっとのことで皆食べ終わり、練習したあとみたいに真っ青な顔してトレイを返却口に返してた。
そしてオレはそれを受け取る。
「ごちそーさま」
『はいよ』
「うまかった…」
『お粗末さま』
「今度は作る量を考えてくれ…」
『…………努力する』
一応食事のあれこれを牛耳ってるのはカントクだから、無理かもしれないけど。
っつーか、食事洗濯その他雑用を押し付けられてはこなすオレは、いつからマネージャーになったんだ……。
「ごちそうさま藤井君、とっても美味しかったわ!」
『ありがとうございます』
普通盛りを完食したカントクは満天の笑みを浮かべて返却口から顔をだす。
「お昼もよろしくね!」
『へ?』
何を言うんだこの女
『オレ、普通に練習したいんですけど』
「いいじゃない別に大丈夫よ!あなたは仮にも元キセキ。私が視たところ身体は十分できてるし基礎もウチでは群を抜いている…藤井君なら今のパワーバランスさえ調えていれば問題ないと思うわ。あと、無茶してまた成長痛なんてぶり返されたくないし」
『はあ、』
「そーゆうことだからヨロシクv」
『…………』
カントクはウインクをしていくと、鼻歌混じりに食堂を出ていった。
『………あ、スキップしてる』
嵐の予感。
***
食器を洗い、洗濯を干し、乱雑に畳まれた布団を畳み直して、水分補給のための飲み物を作った頃にはもう皆相当息を上がらせていた。
『おつかれーっす』
「お、飲み物来た」
「じゃあ休憩しましょ。」
すると持ってきた飲み物はあっという間に無くなった。
「藤井君ちょっと砂浜平らにして」
『へーい…』
やっぱり雑用させられるですね。
オレは渋々特設コートに向かった。
「相変わらずしんどい…けど」
「ちょっとは慣れてきた、かな」
『それは良かったですねー』
オレは今日まだ砂浜走ってないんですけど。と、密かに抗議来ても誰も聞いちゃくれない
「にしても何かやるかと思ったら、何考えてんだカントク?」
「いや……そりゃたぶん砂浜練習のアトだ」
『?』
それは、あのスキップとなんか関係ある…とか?
胸騒ぎが止まらない。
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