自分にできる事を (4/4)
「ちょっと!もうみんな食堂いるわよ。何やってんの?」
パタパタと足音を立てて、誰かがやってきた。そちらに顔を向けると、カントクが見える。
『ちょっ……はあぁ!?』
カントクは包丁片手に何故か赤い液体が全身に飛び散っていた。
オレが居なかったほんの数分の間になにがあったのか。思わず二度見しちまった。
「オマエの学校はなんなのだよ黒子!!」
「誠凛高校です」
「そーゆーこっちゃないのだよ!」
「あれっ!?秀徳さん!?てかこれケチャップよっっ」
『ケチャップ?!』
オレは驚愕した。ケチャップをそんな風に使う料理は果たしてあっただろうか。
『ちょっと先に行ってます!』
心配になったオレは、食堂へと駆け出した。
***
『ケチャップ!』
オレは食堂に駆け込んだ。
テーブルではすでに茶碗が裏返しになって待機していて変わったものは特に無い。
それに食堂にいるのはまだ先輩方数名だった
「どうしたーそんなに慌てて」
「ケチャップがどうしたって?」
『ああ、主将と伊月先輩…』
それが斯く斯く然々で…
「なるほど。それなら小鉢みたいなのによそられてたぞ」
『あ、本当だ』
見やれば各テーブル毎に置かれていた。食べ過ぎ防止のためにしたんだろうと伊月先輩が言った。摂り過ぎは高血圧のもとだと。
「良かったな。異常なくて」
ポン、と主将の手が肩に置かれた。
「じゃ、人も集まったし…食うか」
「そうだね」
『?』
2人が遠い目になって席に座った。それがどこか事務的な作業に見える。
「ホラ」
温かいご飯と味噌汁がよそられた。だがそれを見てオレは思わず箸を持つ手を止める
「あの…センパイこれ……多い」
「食うのも練習だ。最低3杯は食えよメシ」
「3ッッ!?」
『無理ですっ』
一応の抗議はしたけれど、無理でもなんでも食べなきゃいけないそうだ。
『死にそう…』
こういう時先輩ってずるくね、なんて誰かが言った。まったくその通り。先輩方が食べてるテーブルをちらりと見た
「え、何?」
『なんでもございません…』
同じように山盛りの料理を食べる先輩達。背後には笑顔満点のカントクが。
「すみません、ちょっとトイレに……」
「黒子、吐いたらもう一杯追加な」
少食のテツヤには大量の食事を食べてフラついていた。かわいそうに
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