オセロゲーム Part2 | ナノ
本当の始まり (3/3)





「集合───」



外がすっかり暗くなった頃、カントクから召集がかかった。


「みんな……入部の時やったこと覚えてる?」


カントクが質問をした
部員が皆、顔を強ばらせる


「あれっ……!?」

「やるの!?」


なんか一大イベントがあったらしいが、生憎オレにはちんぷんかんぷん


『何の…話ですか?』

「そういえば、藤井君はまだいなかったんだっけ。ほら、火神君が屋上で宣誓した事件あるでしょ?アレの話をしてるの」


声を張って宣言できたらセーフ。
できなかったら全裸で好きな子に告んなきゃいけないらしい


「次はもう負けられないわよ。わかってる?冬は……寒いわよ〜ハダカ」

「……え」

「冬……!?」


『そう。冬にはまだ大会が残ってる』


12月に東京で開催される選抜大会。
その年の最強を決める最大最後のタイトル。正式名は全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会。


「ウィンターカップ!全てをぶつけるのはそこよ!!」

「そうか。そこで勝てば……」

「最後のチャンスだぞ」

「今までも必死だったけどな。これで冬も駄目だったら、全裸やるぞマジであの女は」

『……それってオレも』

「もちろん道連れだ!」

『道連れって…』


主将が恐怖で震えてるのは目の錯覚であってほしい。
ついでにカントクの輝かしい笑顔も幻であってほしい。あの人、絶対本気だ


「つーわけで、まだ今年は終わってねぇ。むしろこれからが本番だ」

「けどI・Hと同等レベル…だろ?」

「やっぱ正直、キツいよな」


ざわざわと、小言が多くなった。


「それなんだけど日向君、もうすぐ帰ってくるわ。鉄平が」

「え……マジ?」


『?』


主将が露骨に嫌な顔をした。
鉄平って誰だ


「心強い……けどこりゃあ、ちょっと色々あるかもな」

「センパイあの……鉄平…さんて?」

『皆も知らないの?』

「うん」


なら、一年生が入って来る前にいたってことなんかな


「ああそうか、一年はまだ会ってないか。ウチは7番いないだろ。そいつの番号なんだ、誠凛のエース」

「えっ……」


驚いた。誠凛のエースはてっきり火神だと。


「……あ」


カントクが体育館の壁にかかった時計に視線を向けた。その時計は7時の少し前を指していた。


「ヤバイっ、もう体育館閉める時間だわ。その話はまた今度ね」

「おーし、じゃああがんぞ」

「「「ウィス」」」


今日は鉄平さんについて、それ以上の話題は出なかった


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