やがては漆黒に染められて (3/5)
ダムッ
大輝がオレに勝負をかけてきた。
選手だけでなく観客までも声を潜めて経緯を見守ってる。
『あと2分か…いいよ。やろうよ』
40点差がどれだけ縮むか、見ものだろうよ
「はっ、そうこなくっちゃ」
オレが腰を落とすと大輝が笑った。
ダムダムとドリブルでタイミングを図る
「さあ…」
ボールの動きに変化が生じる。
それはとっても微妙な変化だが、ずっとコイツの相手してたオレには分かる。
まあ、逆もまた叱り。だがな
「いくぜ!」
『こいよ』
そして、大輝は動いた。
狙うはスティールただ一つ
───シュッッ
『っしゃあ!』
取るのは成功した。
あとはドリブルで距離をとってスリーを決めるだけ。
「このっ」
『おっせーよ!』
オレ、真太郎ほどじゃなくてもシュートの成功率は良いほうなんだ。
ピ───ッ
オレの投げたボールはリングに数回あたって入った。
これで92対55。
「ナイス藤井!」
『サンキューです』
先輩方と、ハイタッチを決めた。
いいね。笑顔が見れるよ
「すげぇ!なんだ今の!?」
「誠凛、あんな選手いたか?!」
「あの青峰からスティール!!」
「信じらんねぇ…」
ギャラリーから聞こえてくる歓声。
沈んでいた雰囲気がワッと明るくなった
「やっぱ流石だわ直也」
『どーも』
「でもまだ序の口だろ?もっとスピード上げてこうぜ」
『ああ、いいよ』
今吉からセンターにロングパスが行く。オレはそれをカットした
『どんどん行こうか』
大輝を目の前にして、ダムダムとボールをつく
『今度も行』
「かせるかよ!」
『っちっ!』
シュートを叩かれた。
やはり身長の差が大きい
振り向いたらシュートが決められてた
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