それに影が加わり (3/5)
「第4Q始めます」
ボールは誠凛からだった
───ドキュッ
回ってきたボールをテツヤが他のメンバーにタップパスでメンバーに渡そうとする。
『あっ!』
しかしそれは大輝にパスカットされる。ミスディレクションは桐皇選手には有効だが大輝にはそうはいかなかったようだ。
ダムッ
───キュッ
ボールを手に入れた大輝はゴールを狙いに行った。
火神が立ちはだかるがロールで揺さぶりをかけて、ゴールに背を向けたまま投げた。
『おお』
当然のことながら、そのボールはリングをくぐるのだ。
『………?』
ふと、火神君の走り方が気になった
大輝がコートに入ってから彼のシュートばかり見入っていたせいで忘れてたが、そういえば火神君は足の調子が悪くて一度試合を離脱していた
『考えすぎだといいが……』
一瞬、悪い予感が頭をよぎる。
ビ────ッ
「誠凛、メンバーチェンジです」
「火神!!」
呼ばれてのはやはり火神君だった。
本人は平気だと言ってベンチへ戻るのを渋っていたが、カントクの怒鳴りようからコトは思いの外重大であることが予想された
『詰み、だな』
光のない影はもう十分に役割を果たせたない。
心配になって誠凛ベンチを眺めると、怒りが今まで以上にほとばしった火神がいた。
あれはきっと、自分自身に怒ってるんだ…
***
───バッ
主将がスリーを打った。
ダメだ。打たされただけでリングに弾かれる。
火神君が抜けたけあとで、ディフェンスは高さが足りないしオフェンスは読まれっぱなし
『あと八分なのに…』
あまりにも辛すぎて、永遠にも感じる
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